万年、貧乏サラリーマン(学生)だった僕にとって、オーディオ機器を買う=ジャンク品を買うこと。

それは、通っていた大学から徒歩で行ける範囲にハードオフ(オーディオ、テレビ、パソコンなど家電に特化したリサイクルショップ)という存在を知ったことから始まる。

 

もう20年前の話だが、良くも悪くも普通のリサイクルショップで値段はいい加減だし、中身がまるごと引っこ抜かれているアンプなどがバレることなく、売り場に並んでいる時代だった。

数千円で、今では電源さえ入れば数万円もする品物が、毎月のように買える夢の場所だった。

 

それが10年前ぐらいになると、ネットオークションの落札相場サイトの影響を受け始める。

こんなにしたっけ?という突拍子もない値段も以前より、よく見るようになった。

しかしまだまだ、単純なチェックミスとアルバイト店員によるいい加減な仕事で、とてもお買い得なジャンク品を

買うことができる、それなりにのんびりした時期だった。

 

かれこれ4-5年前から、一気に風向きが変わり始める。

そもそも高級機種のジャンク品は、現状販売されることがほぼなくなり修理に出して中古品として販売するためなのか

売り場でほとんど見ることが無くなった。

転売ブームもあり、スマホ片手にネタを物色する人が年齢関係なく増えていった。

一度だけ情報商材に引っかかった人たちを、売り場で堂々と引率し売り買いの仕方をレクチャーしている現場に遭遇し、

驚きを隠せなかったことがある。

 

そして現在、かつてのようなワクワクするお宝と出会う機会が失われ、妥当な値段で妥当なジャンク品が売られるようになった。

それでもたまに、どういうわけか抜け漏れがありお買い得品に当たることはあるが、明確に内容と機会が減ったと思う。

趣味の世界というより、ビジネスの世界に染まり牧歌的な風景は姿を消した。

 

ハードオフの売り上げのほとんどは、異常な利益率を誇るジャンク品で賄ってきたと聞いたことがあるが、

今は中古オーディオショップへ変貌しつつあるようで、目下の課題はパソコン関係(ジャンク品含め)の売り上げを

いかにあげていくか、という話を小耳にはさんだ。

企業として成長していく過程で、利益の確保はますます厳格化されていくのを見て、自分が通い始めた頃と時代が確実に移り変わっていく様子を目の当たりにした。