DVDビデオ発売から、広がるデジタルサラウンドブーム

 

従来のLD(レーザーディスク)の末期に、採用され始めた「ドルビーデジタル」というサラウンド規格。

5.1チャンネル(フロント2チャンネル、センター1チャンネル、リア2チャンネル、サブウーファー0.1チャンネルの合計)という言葉を印象付け、ドルビープロロジック規格では実現できなかった、多チャンネルでの高音質化を図ることができてデジタルサウンドならではの、高いS/N比と広い音域でのサラウンド環境の構築ができるようになりました。

 

ヤマハの戦略的普及機、DSP-A5直系モデル

 

早くからAV(オーディオアンドビジュアル)、ホームシアター機材の拡販に重点を置いてきたヤマハ。

古くはDSP-1という、ステレオシステムに追加する音響機材を販売し世界中のコンサートホールの音場を疑似的に再現できることで、

一躍有名となりました。

そしてバブル崩壊後のピュアオーディオブームの終焉と市場の縮小をいち早く、ホームシアター方面にビジネスの重点を転換することで乗り切ってきました。

そしてドルビーデジタル対応、またDTS(デジタルシアターサウンド)対応も素早く、DSP-A1という高級AVアンプも人気となりました。

下位機種にDSP-A2、そして今回取り上げるDSP-A595のご先祖様である「DSP-A5」を発売します。

一気に価格が10万円を切り、普及価格帯と言える5万円代の製品を投入したことでホームシアターはマニア向けからファミリー層のリビングルームに収まるまでに、敷居が一気に低くなった立役者です。

 

中古市場での価値はほぼゼロ、そのためステレオアンプ代わりに気軽に買える

 

DSP-A595は、そんなDSP-A5の機能を一部削減しコストダウンを図りさらなる普及を目指した製品でした。

ところがドルビーデジタル対応のみと、デジタルサラウンド対応音声の割り切りをしたのは良いものの、DTS対応を見送ったため他社製品との競争に苦戦し早々に後継モデルにシフトしているようです。

(そのため公式ホームページには、説明書がPDFファイルで配布されているだけとなっています)

また映像や音声の規格が変わるたびに、買い替えが行われるAVアンプの世界では陳腐化がステレオアンプと比べて極めて進んでいくため、正直これからあえて選択する方は、よほど割り切った使い方をする必要がある場合に限られてきます。

そう、D/Aコンバータ内蔵ステレオアンプとしての使い方です。

 

残念ながらデジタル入力規格はスペックダウンしていた

 

前モデルのDSP-A5は、デジタル入力規格は2チャンネル再生のみとしながらも24ビット96kHz再生に対応していました。

ところが今回のDSP-A595では16ビット48kHzまでとされているようです。

(説明書に記載が無いため推測、ヤマハは隠し機能として対応している可能性はある為今後検証)

これではせっかくのデジタル入力もうまみがなく、見劣りを感じてしまいます。

 

残留ノイズが目立つため、気になる場合がある

 

DSP-AX2400、STR-VZ555ESと高級機を使ってきたからだ、と言われればそれまでかもしれません。

ヘッドホンによっては目立たないこともありますし、気になるかどうかは個人差はあります。

しかし自分の場合、どうしても無音時の残留ノイズがどうしても気になってしまいます。

 

ステレオ再生能力は劣っていると言わざるを得ない

 

これからの整備で変わるかもしれませんが、音質は宜しくありません。

全体的に雑な表現で、ドンシャリ傾向が強いのに音域の狭さ、ダイナミックレンジ(音の強弱差)も今一つでした。

低音の厚みや瞬発力といった要素は、ホームシアターの場合サブウーファー(アンプ内蔵)が担うため、AVアンプそのものには必要とされていないものと思われます。

これはこの機種が悪いのではなく、10万円以下のAVアンプに顕著にみられる傾向と思っています。

 

低能力を逆手に取って、組合せを考えよう

 

提案ですが、組み合わせるスピーカーを、アンプに負荷のかからないフルレンジスピーカーやシンプルなネットワーク回路を持った2ウェイスピーカーなどにして、小音量で楽しむのに向いているのかもしれません。

逆手に取って、1970年代のクラシカルな国産スピーカーを二束三文で購入し組み合わせてみてもいいのではないでしょうか。

現在のダンピングファクターが高すぎるアンプでは、低音がやせて聞こえてしまうからです。

 

ハイグレードなAVアンプを買おう、話はそれからだ

 

陳腐化の激しいAVアンプの中古市場、見かけなくなりましたがまだまだ高級モデルが投げ売りされています。

お勧めはデジタル入力が24ビット96kHzに対応した、10万円以上のモデルです。

特にソニーの555ESは販売台数が多かったのかよく見かけます。

送料は必要経費と思って潔く払いましょう、目の前にある価値のないものにばかり手を出すことはお勧めしません。

販売価格が、普及機も高級機も大差ないのですから。