ある程度、基礎知識のある人間をターゲットにしています。

専門用語が分からないレベルの人は読む前に勉強してからにしましょう。

あくまでもわかる人にはわかる内容を書いてあります。

 

・そのレコードプレイヤー、本当に買って大丈夫ですか?

ローコストモデルを買う意味はない、特にスピーカー内蔵品。

これには大きく2つの理由がある。

1つはアナログレコードは、音質の差が再生装置の質と仕組みに大きく左右される。

そのため、少なくともスピーカーが別になっているものが必要である。

もう1つは、使われているフォノカートリッジの問題である。

具体的には、多くのスピーカー内蔵のレコードプレイヤーに使われているのは、安価なセラミック型カートリッジである。

この形式の欠点はレコード盤にダメージを与えかねない、非常に重い針圧の影響である。

お気に入りのレコードを何度も聞くうちに、音溝が削られていき貴重なレコード盤を摩耗させる可能性を考えないといけない。

 

・ベルトドライブ、カートリッジ交換不可、フォノイコライザー内蔵という世界標準をあえて選ばない理由

それは決められた音ではなく、自分だけのハイクオリティな音を見つけるために必要だからである。

今ではオーディオテクニカが細々とラインナップするだけになったが、1980年代のシステムコンポ用のオプション品が源流にある。

正直非常によくできた製品で、買って説明書通りに組み立てて使用するだけで、特に不満が出るような低品質なものではない。

しかしそれは同時に、本来は非常に自由度が高くクオリティも含めて選びたい放題の、アナログレコード再生の選択肢を閉ざすもの。

いずれ飽きたらヤフオクかメルカリで叩き売られる運命にある。

 

・本格的なアナログレコード再生のために必要な装置の種類と条件

フォノモーター

・ベルトドライブは製造メーカーが交換用ベルトの供給打ち切りの時点でプレーヤーごとゴミになる(例外あり)

*マイクロ精機はじめ、倒産したメーカー含めて対応する互換品がネット上に出回っているため、なんとかなる。

・ダイレクトドライブはDJ用以外に選択肢はあまりないが、メンテナンスフリーに近い(例外あり)

*電子回路の不具合を起こした時点で、メーカーに交換部品が無ければ廃棄処分するほかない。

*軸受の定期的なオイル注油は必要である。

 

S字ユニバーサルトーンアーム

・ジンバルサスペンション、ダイナミックバランスかつトーンアームの高さ調整できるもの

*高さ調整できないトーンアームが搭載されているレコードプレーヤーはゴミ同然である。

*装着するカートリッジによって高さ調整が必要なのは、そもそもトーンアームを水平に合わせるため。

・ユニバーサルトーンアーム用ヘッドシェル

*素材や重さによって選び方が変わってくる、MC用のものはとにかく重く硬い。

*ヘッドシェルとフォノカートリッジを接続するケーブルも音質を左右するがここでは割愛する。

・フォノカートリッジ

*交換不可はあり得ない、最低でもMMカートリッジが付属しているものは買おう。

*トーンアームに合わせて、オーバーハング設定は必ずやろう。さもなければカンチレバーが曲がる。

 

・DJ用ターンテーブルという選択肢がなぜ有力なのか

・ピュアオーディオ用も、DJ用もハンピンというOEMメーカーの製品に過ぎないから。

*テクニクスの下請けだった可能性まで指摘されている、そして今では日本メーカーの大半が依存している。

 

そしてベースになっているのは、テクニクスのSL-1200Mk2という枯れた製品。

・トーンアームの仕様の違いによって、フォノモーターの仕様によって製品価格は変わってくるが、実際大差ない。

*テクニクスに忠実なものは高い、トーンアームは明らかに簡易的な造りのものは避けるべき。

 

・付属はMMカートリッジだけではなくヘッドシェルも。

*いつものオーディオテクニカの音がするが、アナログレコード再生の基礎が学べる。交換針も豊富にある。

 

・MCカートリッジを使いたければほかの超高級機へどうぞ、レコード再生の醍醐味はあるかもしれないが取扱と費用面で筆者は疑問。

*みんな大好きオルトフォンSPUとデンオンDL-103がとにかく個人的に嫌いなだけで、いいカートリッジですよ。

 

・いずれレベルアップもしくは泥沼にはまると、自然とレコードプレーヤーを2台持ち、3台持ちにするハメになる。

そうなったときのレコード盤テスト用やクリーニング用に使い道がある。

*モーターのトルクがとにかく強いため、また安価なので粗い使い方をして壊しても惜しくない。

 

・フォノイコライザーを内蔵しているモデルはコスパ高い、1台で本格的なレコード再生の一歩が踏み出せる。

*パイオニアDJのPLX-500は個人的に上記要素を満たすため、最初の1台に向いている。

 

・フォノカートリッジのための土台に過ぎないので、ターンテーブルの予算は最低限で充分。

むしろフォノイコライザーに金をかけろ。

・RIAA規格対応フォノイコライザーは、ほとんどがオペアンプ(集積回路)とパッシブ素子(抵抗、コンデンサ)を使った簡易的なもので、単体プリメインアンプでも、フォノイコライザーは簡易的なものが搭載されている(例外あり)

そしてDJ用レコードプレーヤーに搭載されている、フォノイコライザーは簡易的なものだが外付けする必要がないうえに、実は下手な単体プリメインアンプのフォノイコライザーに接続したり、後述する飾りだけの真空管が搭載された単体フォノイコライザーを買わなくても、音質は同等かそれ以上である。


*ディスクリート回路で構成されたフォノイコライザーがようやく表れ始めた(単体プリメインアンプにも搭載されている)が、単体フォノイコライザーかつ、価格や内容も高級機が大半。

*amazon、AliExpressなどで売られている単体フォノイコライザーの中に、真空管が搭載されているが実際はオペアンプが仕事している。そして音質は良くない。中には設計が悪くて粗悪なものもある。

・いくらフォノカートリッジがビンテージ品でも、フォノイコライザーが現代製品だと良さは出ない。

*フォノイコライザーもビンテージ品をメンテナンスし、使用したほうがよりアナログレコード盤の音質を引き出せる。


 

 

・まとめ

・これからアナログレコードをあえて金をかけて、取り組むならDJ用ターンテーブル(フォノイコライザー内蔵)という選択肢は十分ありえる

*中には造りのひどいもの、具体的には電源トランスがトーンアームにヘッドシェル経由で取り付けたフォノカートリッジの真下の位置に来るように設計されているがある。

*メーカーがMCカートリッジを使うとハム音がするので、お勧めしないと記載しているものはこういう問題がある。

・フォノカートリッジ、フォノイコライザーは単体で買って組合せを複数実験し、自分好みのパターンを作る

*貴重なフォノカートリッジが放出される流れになっており、金を積めばいくらでもレア物、高級品が買える。

*フォノイコライザーは選択肢が少なく、とにかく奪い合いである。とにかく金を積んで敵に勝て。

 

最終的にはアナログレコード再生が前提だった時代の、ビンテージ品を整備してトータルで環境を組むのが勝者。