やっと本来の姿と音質を取り戻しましたが、具体的にどう変わったのでしょう?
このスピーカー最大の特徴は、3ウェイスピーカーでありながら、すべての振動板の素材や形状を吟味し、クロスオーバーネットワーク回路をシンプルにした結果、非常に纏まりのあるサウンドであること。
そして、録音されている音楽のみならず、録音現場に広がる空間の広さ、いわゆるホールトーンの正確な再現力、楽器や声楽の余韻の正確さが、大変ずば抜けて高い能力を秘めています。
さらに、スピーカーシステムそのものには、脚色はほとんどなされていませんが、音楽ソフトに含まれる情報は、すべて引き出すため、楽器の音色や声の艶やかさなどを、これまた正確に再生します。
本当は具体的に音楽ソフトを取り上げ、試聴レポートをすべきでしょうが、私は文章を書くのが得意ではありませんし、音楽や音質に対する解釈で、余計な指摘や揉め事は避けたいので、言及いたしません。
ひとつ言えるのは、必要な要件をすべて満たせば、無銘の国産スピーカーなどとバカにされることのない、大変音楽再生に対して謙虚で、誠実ながら心を強く打たれる感動を得られます。
ただし、10年は向き合わなければ、辿り着くことのできない、まさに枯山水の世界でありますので、普通の楽しみ方をするのであれば、お辞めになりなさい。
果てしない苦行を経て、やっと本来の姿になることでしょうが、まず辿り着けません。
再生音を通じて、流れてくるのは音楽だけではありません。
自分自信の、心そのものであり人間の内面です。
いわゆる、優しさや温もり、時には厳しさや辛さなど、様々です。しかし、私が幾多のオーディオシステムから感じたのは、オーディオマニアという人種の持つ、歪んだ感情でした。
傲慢で、刺々しくて、苦痛さえ感じました。私もそんな風に、人生に挫折しオーディオシステムにも、他人には理解しがたい苦しみや、不条理にしての怒りが溢れていました。
それが、段々と傷が癒えていくうちに、変わっていきました。
どんな音楽を聴いても、苦痛では無くなりました。
穏やかで、温もりと深みを感じるようになりましたし、聞かなかった音楽も聞くようになるなど、やっとオーディオ機器に求めてきた「あらゆる音楽で最高の感動を味わう」ことが、出来るようになりました。
もし、私の自宅で音楽を聴いたなら、あなたはきっと実感するでしょう。
「ああ、本当はこうだったんだ」と。