事の発端は、いつものようにネットオークションの取引をしていた時のこと。
お互いにカメラ談義で盛り上がってきた中で、ニコンD2Hの話になった。
憧れを持つ、そのカメラを選び、持っていることに敬意を表したことが、持ち主の心の琴線を震わせたのかもしれない。
もし、使わなくなった時には、このカメラをあなたに託します。
いつか、遠い日にやってくると思っていたが、それはすぐにやってきた。
それは、画素数の少なさ、高感度ノイズの多さ、故障の多さである。
高画質よりも、いかに瞬間を逃さず切り取るのか、それも確実に間違いなく、である。
ましてや、コストダウンのためのセンサー自社開発ではないのだ。
高画素化は視野に入れていただろうし、ノイズリダクションも、映像処理技術の進歩により、解決できただろう。
少なくとも、長年にわたる研究開発の成果であり、世の中には無い付加価値に溢れ、未来はあるのだ。
もし、そうでなければ、わざわざプロ用一眼レフに採用しないはず。
デジタルセンサーという、未知の領域を取り込みながらも、歴史を目撃し記憶を永遠に残す、写真が持つ意味を、D2Hは教えてくれる。
これからも私は、人生という歴史を紡ぎながら、闘う本能を持ちながら生きる、証としてこのカメラと共に歩んでいく。