都心から電車に揺られて約1時間半。
西武秩父駅に降り立った瞬間、空気の温度がふっと変わったように感じました。
秋の光はやわらかく、頬をなでる風は少し冷たくて、
「この街には、時間の流れがゆっくりあるんだな」と思わず深呼吸してしまいました。
駅舎は木のぬくもりに包まれ、どこか懐かしい香りがします。
ふと見上げると、背景には優しい山並み。
東京の高層ビルに囲まれた日常とはまるで違う、
人と自然が隣り合わせに暮らす風景が広がっていました。
改札を抜けた先には、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の展示が並び、
この街が作品の舞台であることを思い出しました。
色褪せない青春の記憶のように、どこか切なく、でも温かい空気が流れています。
駅から歩いて10分ほど。秩父神社へと続く“番場通り”に入りました。
通りに並ぶ建物は、どれもどこか懐かしい昭和の香りがして、木造の軒先や古い看板が、まるで時を閉じ込めているようでした。
通りには、地元の商店やカフェ、小さな雑貨屋が並びます。
この道は、アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の舞台にも登場する場所。
古い旅館の看板や味のある電柱の広告を見つけては立ち止まり、写真を撮りながらのんびりと歩きました。
↓広告は「あの花」ではなく「ここさけ」に変わってました
観光地らしい派手さはないけれど、どの店にも、どの人にも“日々の物語”が息づいていて、それが旅人の心をゆっくりほどいてくれます。
番場通りを抜けると、秩父神社の立派な鳥居が現れます。
太い柱をくぐった瞬間、街の喧騒がすっと遠のき、
木々のざわめきと風の音だけが響く静かな世界に包まれました。
社殿の彫刻には、秩父の匠たちの技が今も息づいています。
「子育ての虎」や「つなぎの龍」など、
ひとつひとつに意味と祈りが込められていて、
長い年月を超えて今も人々の心を支えています。
秩父という街は、過去の痛みや想いさえも包み込んで、
「それでいいんだよ」と静かに語りかけてくれるような場所でした。
この旅が終わっても、きっとまたここに戻ってきたくなる――
そんな不思議な余韻が、いつまでも心に残りました。
〒368-0033 埼玉県秩父市野坂町1丁目16













