ストーン
仮釈放管理官であるジャックがストーンの妻ルセッタの誘惑に負けて
ストーンに仮釈放の許可が与えたことが脅迫の材料にされてうんぬん、
みたいなクライム・サスペンスだと思ってたこの映画。
でも実は1番大事なキーワードは「宗教」、っていうかなり予想外な方向で
そういう意味ではとにかく目を離せなかった。どこいっちゃうのーみたいな。
だって予告編でも全然そんな感じしなかったし。これこれ!
ジャックは毎週ミサに行っていてもラジオの放送を聴いていても
それは「ふり」にしか過ぎず、本当に神の存在を信じている訳じゃない。
仮釈放の許可が欲しいために、多くの囚人たちが平気で嘘をつく。
「更生したんだ。社会の役に立ちたい。」と言っていてもすぐ刑務所へ戻ってくる。
自分のやっていることは無駄だ、と本音が見えるところが悲しい。
ジャックにとって人が変わるというのはあり得ないことなのかも知れない。
ジャックは宗教の力で変わっていくストーンを強く否定して、憎みすらする。
そのジャック自身あの冒頭のシーンから定年まで何1つ変わっていない。
もしどこかで変わっていたら、周りの「音」に耳を傾けていたら何か違ったかもしれない。
サスペンスとしての恐怖より、年老いた1人の男として自分の人生と目を合わせたときに
「真実が無い」と感じるむなしさの方が怖かったかな。
役者陣ではミラ・ジョヴォヴィッチが光ってたと思った。
いつも通りサービスありがとうございます!っていうのもあるけど!
魔性の女賞があったらあげたいくらいイイ女でした。
ファントム・オブ・パラダイス
1974年に公開されたデ・パルマ監督によるロックミュージカルで
「オペラ座の怪人」「ファウスト」「ノートルダム・ド・パリ」
「ドリアン・グレイの肖像(これ知らなかった)」なんかの古典を元ネタにした
音楽と愛憎がごちゃごちゃに織り交ぜられた悲劇のような喜劇。
いやーこれすっごく面白かった!!!
音楽を商品や手段として使わざるを得なくなった音楽家たちが
どんどんと転落していくというところが悲劇なんだけれど、
それがデ・パルマらしい凝った画面作りやオマージュ、
B級テイストな「そりゃねーよ」ギャグによってゴテゴテに飾り付けられて
「なんか悲しいけどなんか無性に笑える」映画になっていた。
「偽物の音楽」を面の皮厚く発信し、しかも人を使い捨てとして扱う
音楽業界に対する批判ももちろん込められているんだろうけど、
同時に何も考えずに「偽物の音楽」に熱狂する受け手たちへの皮肉も
込められているような気がしたなあ。
音楽よりもそのゴシップ性ばっかり騒ぎ立てるようなファンとかね。
ファウストは最後に失明し、魂を売った悪魔たちが墓穴を掘っている音を聞いて
鋤や鍬で土地を耕す音と勘違いし、悪魔へ魂が引き渡される合言葉であった
「瞬間よ止まれ!お前は実に美しい!」という幸福の言葉を口にして死んでしまう。
しかし悪魔に魂が持ち去られるその時、天使たちが降りてきて、
結局ファウストの魂は神によって救われる。という終わり方らしい。
もしかしたらファントムもファウストのように、観客たちの熱狂する声を聞いて
自分の曲に対する称賛だと勘違いし、音楽って素晴らしい!とか思いながら、
愛する女性に抱かれて天国へ行ったのかもしれない。
とか考えたら、何だか悲しいようで笑えると思った。
蛇足でした!


