2025年8月。
私の妻が膵臓がん(多発肝転移・ステージ4)と診断されました。
膵臓がん(多発肝転移・ステージ4)とは
膵臓がんは、膵臓にできる悪性腫瘍です。
初期にはほとんど症状がなく、発見された時点ですでに進行していることが多いとされています。
私の妻もそうでしたが、急性膵炎や黄疸、腹痛などの症状がきっかけで受診し、膵臓がんが見つかりました。
膵臓がんは進行度によって、下記のステージ1~4に分類されています。
ステージ1
がんが膵臓の中だけにとどまっている状態です。
手術で切除できる可能性が高く、手術後に再発予防として抗がん剤治療(補助化学療法)を行うことが一般的とされています。
2026年時点で公表されている最新の全国集計では、ステージ1の5年生存率は49.4%です。
ステージ2
がんが膵臓の外へ少し広がっていたり、近くのリンパ節へ転移している状態です。
切除可能であれば手術を行い、その前後に抗がん剤治療を行うことがあるそうです。
ステージ2の5年生存率は20.8%です。
ステージ3
主要な血管へ広がり、手術が難しい局所進行がんです。
抗がん剤治療や放射線治療を行い、がんが十分に縮小した場合には手術を検討することもあるようです。
ステージ3の5年生存率は5.8%です。
ステージ4
肝臓や肺、腹膜など、膵臓から離れた臓器へ転移している状態です。
私の妻は、肝臓に複数の転移があったため、「膵臓がん(多発肝転移・ステージ4)」と診断されました。
遠隔転移がある場合、基本的には手術の適応とはならず、抗がん剤による全身治療が中心となります。
ただし、抗がん剤が非常によく効き、原発巣・転移巣ともに大きく縮小した場合には、ごく限られたケースですが手術(コンバージョン手術)が検討されることがあるようです。
ステージ4の5年生存率は1.5%です。
※ここで紹介している5年生存率は統計であり、個人の余命や経過を示すものではありません。
膵臓がんで使われる主な抗がん剤
アブゲム(アブラキサン+ゲムシタビン)
日本で最も広く使われている一次治療の一つです。
効果と副作用のバランスが比較的良く、高齢者や体力がやや低下している方にも選択されることがあります。
私の妻も、このアブゲムから治療が始まりました。
FOLFIRINOX
オキサリプラチン、イリノテカン、ロイコボリン、5-FUを組み合わせた治療です。
治療効果が期待できる一方で、副作用も強いため、比較的体力がある患者さんに選択されることが多い抗がん剤です。
オニバイド+5-FU+ロイコボリン
一次治療が効かなくなった後の二次治療として使用されることが多い抗がん剤です。
近年では標準治療として広く用いられています。
S-1(ティーエスワン)
飲み薬の抗がん剤です。
病状や副作用の程度によって選択されることがあります。
ゲムシタビン単独療法
体力や年齢などを考慮し、比較的負担の少ない治療として選択されることがあります。
膵臓がん(ステージ4)の主な治療の流れ
膵臓がん(ステージ4)では、遠隔転移があるため、基本的には手術ではなく抗がん剤による全身治療が行われます。
使用する抗がん剤は、年齢や体力、副作用、遺伝子変異の有無などを総合的に判断して決定されます。
パターン① アブゲムから開始する場合
一次治療
・アブゲム(アブラキサン+ゲムシタビン)
↓
二次治療
・オニバイド+5-FU+ロイコボリン
・S-1
・FOLFOX(施設による)
↓
三次治療
・S-1
・FOLFOX
・臨床試験
・遺伝子変異があれば分子標的薬
↓
標準治療終了・緩和ケア
パターン② FOLFIRINOXから開始する場合
一次治療
・FOLFIRINOX(またはmodified FOLFIRINOX)
↓
二次治療
・アブゲム(アブラキサン+ゲムシタビン)
↓
三次治療
・オニバイド+5-FU+ロイコボリン
・S-1
・臨床試験
・遺伝子変異があれば分子標的薬
↓
標準治療終了・緩和ケア
ここまでが、当時私が調べた標準治療の内容です。そして、私が次に調べ始めたのが、標準治療以外の可能性でした。その中で何度も目にしたのが、「遺伝子パネル検査」という言葉でした。
遺伝子パネル検査について
当時、私が調べている中で何度も目にしたのが、遺伝子パネル検査でした。
遺伝子パネル検査では、がん細胞の遺伝子を詳しく調べることで、分子標的薬や治験など、標準治療以外の選択肢につながる可能性があります。
もちろん、すべての患者さんに新たな治療法が見つかるわけではありませんが、それに応じた治療を受けられる可能性があります。
私が診断直後に遺伝子パネル検査をお願いしたのも、「もし使える治療法があるなら、できるだけ早く知っておきたい」と考えたからでした。
遺伝子パネル検査で分かること
遺伝子パネル検査を受けることで、がん細胞にどのような遺伝子変異があるのかを調べることができます。
私の妻の場合、KRAS G12Vという変異とTMB3.2であることが分かりました。ただ、診断された当時はこの変異に直接、対応できる薬はまだありませんでした。
一方で、遺伝子変異によっては、一部の研究でFOLFIRINOXなどのプラチナ製剤が効きやすい可能性が示されているものもあります。
遺伝子変異が分かることで、現在受けられる治療だけでなく、将来受けられる可能性のある治験や分子標的薬を探す手掛かりにもなります。
ステージ4の標準治療の限界
また、抗がん剤は効果が永久に続くものではなく、多くの場合、時間の経過とともに効果が弱くなっていきます。そのため、治療を続ける中で、別の抗がん剤へ切り替えることも珍しくありません。実際に、ステージ4の5年生存率は1.5%と非常に厳しい数字となっています。
ここまで調べたことで、標準治療のおおまかな流れは理解できました。しかし、理解すればするほど、新たな不安も大きくなっていきました。診断された本人はもちろん、家族にとっても、この現実をすぐには受け止めることができませんでした。
標準治療以外の可能性
私の決意
ここまで調べて、私は一つの結論にたどり着きました。
「標準治療だけで終わるのではなく、今から次の選択肢を探しておこう。」
そう考えたのは、「標準治療が効かなくなってから探す」のでは遅いかもしれないと思ったからです。
何より、妻には少しでも長く生きていてほしい。その一心でした。
この頃から、
「標準治療だけでは終わらせない。次の選択肢は常に探しておこう。」
という考えが、私の行動指針になりました。
もちろん、最終的にどの治療を受けるかを決めるのは妻です。
ただ、選択肢は多いに越したことはありません。妻が治療を選ぶときに、一つでも多くの可能性を示せるようにしておきたい。そんな思いで、私は情報を集め続けることにしました。
そして私は、標準治療以外の可能性を探し始めることになります。