前回の続きです。
翌日の2026年8月20日。
一晩が経ち、前日の39.9℃の高熱から37.6℃まで下がったとのことで、身体もだいぶ楽になったようでした。
当初はウイルス性のものとして治療が進められていましたが、血液検査では肝臓や胆道系の数値も高くなっていたとのこと。
「胆管炎の可能性があるので、エコーをします。」
と急遽、診てもらうことに。
妻は胆管にステントを留置しているため、その影響も考えられるとのことでした。
エコーの結果、幸いステントの詰まりは確認されませんでした。
ただ、胆管に炎症が起きていることは間違いないとのことで、ウイルス性の症状に加えて、胆管炎も重なっていた可能性があるようでした。
血液検査で胆道系や肝臓の数値が改善するまでは、絶食して点滴を行う方針になりました。
絶食となったのは、木曜日の朝から月曜日の朝まで、丸4日間。
さらに、その前から口内炎や喉の炎症による痛みで、妻はまともに食事を摂ることができていませんでした。
ようやく少しずつ食べられるようになってきたところで、今度は胆管炎による絶食。
結果として、かなり長い期間、満足に食事を摂れない状態が続くことになりました。
その間は生理食塩水や抗生剤、解熱剤などの点滴で過ごすことになりました。
数値の改善が見られるまで、退院日は未定。
長引く入院に絶食まで重なり、妻にはかなりのストレスがかかっているようでした。
振り返ってみると、治験が始まった7月末から、妻は入退院を繰り返しています。
サイクル1では2週間以上入院し、退院して自宅で過ごせたのはわずか5日間。
そして今回、再び入院。
合わせると、ここ1か月のほとんどを病院で過ごしていることになります。
仕事にも満足に行けず、友人とも会えず、好きなものを食べることもできない。
妻にとっては、病気になる前から続けてきた自分らしい生活が、ほとんどできない1か月だったと思います。
土日の間、妻からは何度も、
「退院したい。」
「早く家に帰りたい。」
「ベッドで過ごすのがつらい。」
とメッセージが届きました。
そして、
「これが今後も頻繁に起こるなら、治験は続けられない。」
そんなことまで考えてしまうほど、精神的にも追い込まれていたようでした。
これまで妻は、治療がつらくても弱音らしい弱音をほとんど吐かず、仕事にも行き、友人とも会い、自分らしい生活を続けてきました。
そんな妻から「治験を続けられない」という言葉が出たことが、私はかなり心配でした。
治験を続けるかどうかを決めるのは、もちろん妻です。
ただ、治験薬が効くかどうかもまだ分からない段階で、病状ではなく長引く入院生活が理由で治験を続けられなくなるとしたら、それはあまりにもつらい。
何より、妻自身が精神的にかなり参っていることが心配でした。
2026年8月24日。
月曜日の朝の血液検査で、なんとか胆道系や肝臓の数値は改善し、熱も平熱まで戻っていました。
昼からは絶食も解除され、全粥と通常のおかずを食べることができました。
まともに食事ができない日が続いていたこともあり、妻も少し元気を取り戻したようでした。
ただ、その後、担当医と話す機会があったらしく、
「高熱の原因を考えながら、慎重に治療を進めます。」
と言われたとのこと。
もちろん、医師として慎重に進めるのは当然のことだと思います。
ただ、妻にとっては、
「結局、いつ帰れるのか分からない。」
という状況が続くことになりました。
長い入院生活に、ほとほと嫌気が差していたのだと思います。
「もう無理だわ。」
そんなメッセージも届きました。
実はその日の午前中、私は関西の病院へ電話をしていました。
土日の妻の様子を見ていて、このままにしておくのは心配だったからです。
「いつ退院できるのか分からない入院生活に、精神的にもかなり参っているようです。今後の治療の見通しだけでも伝えてもらえないでしょうか。」
そんな相談をしました。
治療の安全性を優先しなければならないことは、私も理解しています。
ただ、いつまで続くのか分からない状況で毎日を過ごすことと、「あと何日」と分かった上で過ごすことでは、妻の気持ちも大きく違うのではないかと思いました。
「担当医に伝えておきます。」
と言ってもらい、そのときは電話を切りました。
その日の夕方。
妻から連絡がありました。
担当医が再び病室へ来て、
「このまま熱が上がらなければ、水曜日に治験薬を投与して、木曜日に生検。金曜日に退院する予定で進めていきましょう。」
と話してくれたそうです。
ようやく退院までの見通しが立ちました。
妻から届くメッセージも、それまでとは明らかに違っていました。
退院できる日が分かっただけで、こんなにも気持ちが変わるものなのだと思いました。
私もその連絡を見て、本当にほっとしました。
ここ数日は妻の体調だけでなく、精神的にかなり追い込まれていることも心配で、私自身も落ち着かない日が続いていました。
「治験を続けられない」という言葉も、ずっと頭に残っていました。
だからこそ、治療の予定と退院までの道筋が見えたことは、妻だけでなく私にとっても大きな安心材料になりました。
その後、担当医から私にも電話があり、同じ内容を説明してくれました。
私は、
「いつも丁寧に診ていただき、いろいろと配慮していただいてありがとうございます。」
と伝え、電話を切りました。
それ以降、妻は少しずつ明るさを取り戻し、前向きに治療を続けています。
今回改めて感じたのは、入院生活は身体だけではなく、精神的にも大きな負担になるということでした。
治療を続けるためには、薬の効果や副作用だけではなく、その人らしい生活をどれだけ維持できるかということも、とても大切なのだと思います。
まだ数日、入院する必要があります。
このまま熱が上がることなく、予定どおり治験薬を投与し、生検を終え、金曜日に家へ帰ってきてほしいと願っています。