求められる郷土資料館 | 世のため人のため~“メガホン侍” 伊藤央

世のため人のため~“メガホン侍” 伊藤央

代議士秘書10年、山口県防府市議6年。現在は東京都小平市議(2期目)。地方から日本を改新し、世界を救うことを目的に活動中。日々街頭に立ち、思いと政策を訴える“メガホン侍”。

教育民生委員会の所管事務調査で、市内の遺跡で発掘された出土品や、民俗資料などの保管状態を調べるため、これらが保管されている場所5箇所を視察しました。

防府市は、古くは国府(国ごとに置かれた地方行政府)がおかれ、国分寺や、最古の天満宮を有する歴史のあるまちです。市内各所の遺跡からは、縄文時代や弥生時代のものから始まり多くの遺物が出土されています。私も小学生の頃、近所の山でしょっちゅう土器などを見つけていました。また、農機具や、塩田で使われた器具等、重要な民俗資料も残されています。しかし、その数の多さのためか、保管場所が十分でなく、保存状態も決して良好とは言えません。現在は、国府跡の発掘事務所として建てられたプレハブの建物(写真1。鉄骨が腐食して、今にも倒れそうです)や、元競輪選手の宿舎として使われていた建物、海洋民俗資料館(と言っても、昭和30年代に建てられたもので、お化け屋敷みたいです。写真2)、元の消防署倉庫(スレート葺きの屋根に穴が空いています)などに保管されています。

「貴重な出土品や資料をこの劣悪な環境で保管するのはいけない」、「もっと市民の目にも触れやすいところに展示するべきだ」・・と、「郷土資料館」のようなものを作ってはどうかと市民の間から声が上がっていますし、数人の議員が一般質問でも取り上げられました。

来年、駅北に再開発ビルが完成し、図書館がその中に移転する予定です。そこで、現図書館の建物を「郷土資料館」として利用してはどうか、という意見が出て来ました。現図書館は、市役所近くで市の中心部に位置しています。市民の目に触れるよう展示も可能でしょうし、現在、保管場所として利用されている建物よりは新しく、また広さもかなりあります。隣接する「青少年科学館ソラール」と、絡めて小中学生へアプローチし、防府市の歴史に触れてもらう仕掛けもし易くなるでしょう。

「歴史」「伝統」は防府市が誇りとすべきもので、防府市のアイデンティティを構成する重大要素です。これらを守り伝えていくことは、市民にとって大変な利益であると考えますが、この利益は直接的でなく、分かりづらいものでもあります。市民の皆さんに理解してもらえるよう、より活発な啓蒙活動が必要だと思います。