日銀は選択の余地がなくなっている | 夏炉冬扇の長袖者の尉のブログ 

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 円安が続いています、政府は為替相場に円買いドル売り介入をやっていますが、売れるドルには限りがありますからいつまでも続くものではありません。最も有効な円安対策は金利を上げて、資金が高金利の国に逃げ出さないようにすることです。日本は物価が上昇していますから、金利が物価上昇分くらいはつかないと預金が目減りすることになりますから、その点でも金利の引き上げは必要なのですが、それが出来ないところに安倍晋三と黒田東彦が持って行ってしまっているのです。

 

 中央銀行の政策は公定歩合の上げ下げが基本です。景気が過熱して物価上昇が激しくなったら金利を引き上げて引き締めをして、景気が冷え込んできたら金利を下げて投資を刺激する、これは世界の中央銀行がやっていますし、日銀も民主党政権のときまではやっていました、安倍政権になってやれなくなったのです。

 

 今の日銀は金利がほぼゼロの10年国債を500兆円以上抱えています。公定歩合を上げたら、日銀が保有する、金利がほぼない国債はあげた分だけ値下がりします、自己資本(資本金1億円、法定準備金等3.5兆円、引当金勘定8.3兆円)が11.8兆と1億円ですから、2.4%に金利が上がったら自己資本を損失が上回り債務超過に陥ります。

 

 今の日本が直面する円安や物価高騰に対しては、金利を上げるのが最も効果的なのですが、国債を巨大に抱え込んでしまった日銀には金利上げができないのです。中央銀行の主要な役割を果たせなくなっています。金利政策を行なおうとすれば、保有する国債の大半を売って身軽になる必要がありますが、金利がほぼない10年国債など誰も買いません、売るためには国債の価格を額面よりも下げて、満期になったら利が取れる状態にすることが必要ですが、買い入れたときは額面で買っていますから、巨額の損失が発生して日銀債務超過に陥ります。

 

 国債を中央銀行が買うことは、IMF・国債通貨基金が途上国に金を貸す時に絶対にやるなと念を押すような禁じ手です、安倍と黒田の極悪コンビは目先の資金繰りが楽になるからとそれを平気で行ないました。国債の発行残高が大きくなって、利回りの条件を良くしないと売れなくなってきている状態のなかで、日銀に超低金利で国債を買わせることにより、国債の発行は容易になり金利負担も心配する必要がなくなったので、入って来た金で、安倍は、公共事業に軍拡にと大盤振る舞いをやったのです。

 

 国債の中央銀行引き受けは、なんの解決にもならず、財政破綻の先送りで、中央銀行まで巻き込んで事態を悪化させるだけなのですが、日本人は安倍さまが打ち出の小づちを見つけてくれたと喜んで熱烈支持して、不安視する議論に対しては、国債などいつでもチャラに出来る、紙幣が増えれば金持ちになれると言い、不安視する人を財務省に洗脳されていると非難しました。その結果が、日銀が利上げすら出来ない現状を招いたのです。