連載小説ネトウヨ疝気 第11回  | 夏炉冬扇の長袖者の尉のブログ 

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 「匿い料を1日5万円取ると、100日でお前の持ち金はなくなる、匿ってやるのはそこまでだ」

「どうするのだ。100日後ならば、ほとぼりが冷めていて捕まらないか」

「岐阜の警察はそのようなマヌケではない、指名手配が解除されない限り捕まえる。処刑を見ることは県民の貴重な娯楽だから、処刑できる人間を逃すようなことはしない」

 

 俺様は素早く100日後の状況を思案した、匿ってもらえなくなった俺様が逮捕されて、今まで茂賀左衛門の組長屋にいましたと言えば、茂賀左衛門は容疑者蔵匿の罪に問われて向こうも困るのだ。

「俺様が逮捕されて経緯を吐けば、お前も立場を失うぞ」

 

 「お前を匿っていたことが分かれば、匿い料としてお前から取り上げる500万円を奉行に袖の下として渡して、もみ消してもらうことになるがそれでは俺は大損だ」

バカの奉行が儲かる仕組みになっているのかと呆れたが、俺は大損の言葉に俺様は飛びついた。

「大損したくなければ、100日後でも俺様が捕まらないことを考えろ」

 

 「お前じゃないから、あとあとのことも考えているよ。指名手配犯の佐倉衣装は岐阜には来ていない、栃木で人別を抜けた無宿人の無力田岡が現れた、それを山送りとして黒木の下で労役させる、山から逃げ出したら腹黒7連敗のように死罪になるから、無力田岡は山から抜け出せないので、俺が匿って金を取っていたことは永久に表へは出ない」

茂賀左衛門は、前歯が2本無い口を全開させて笑った。自分の狡猾な思案に酔っているようでもあった。

 

 「山送り、山流しではなかったのか」

「罪人が流刑として山へ行かされるのが山流し、犯罪を行う可能性が高い無宿人が予防的に送られるのが山送りだ、こんな進んだ制度は他の県にはないだろう」

岐阜のやっていることはなんでも素晴らしいと思っている茂賀左衛門は、無意味な郷土自慢やっている。

 

 「奉行とか、国民服とか、モンペとか、木炭車とか、3両1人扶持とか、岐阜は変だぞ」

「何を言うか。中国との戦争に備えて戦時体制に入っているから、国民服や、モンペや、木炭車が出て来る、江戸時代の制度が良いから奉行や与力や同心がいて、小者の給与が3両1人扶持なのだ。岐阜には外国人が1人もいない、日本人だけで頑張っている、岐阜は素晴らしい。岐阜を見習って、せめて日本に生きていることがいかに恵まれているかくらい、日本人全員が自覚できていると良いのだか。」 

 

「日本人が頑張ってこんなに貧しいのか」

「なんだと」

俺の言葉に茂賀左衛門は激怒した。

 

  明日に続きます