自死の理由 | 夏炉冬扇の長袖者の尉のブログ 

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 後で生きている者が推量で、自死についていろいろ言うのが常ですが、私は本人しか分からないから、死んだ理由が生きている者に分かるはずがないと思っています。ましてや、日本人差別で生活保護が受けられないからと、1つの理由で全てを説明して、外国人から生活保護を取り上げて日本人に回せば、自殺はゼロになるなどと論じるのは人の死を軽んじるだけの行為です。

 

 そう思うのは、今から49年前ですから、思い切り昔で、読者の方の多くがまだ生まれていないときのことですが、私の親族が自殺しました。その人は私の祖父の弟の子だったので、親といとこになるのですが、年の離れた弟だったので、年齢は私と5歳しか違わず同じ小学校でした。

 

 家も近くて親しく交際していました。バカばっかりの一族のなかで珍しく優秀な人で、教育大を出て小学校の教員になったのですが、赴任して10日後に街に隣接した山の中で自殺しました。私も現場に行って遺体を見たのですが、首吊りなどではなく、カッターナイフで頸動脈を切るという死に方でした。

 

 家を出たが学校にはやってこないというので探していたら、遺体を発見した人が警察に通報して分かったのですが、家族も親族もどうしてと驚くばかりでした。

 

 赴任して10日だから仕事ではないだろう、異性関係の縺れもなかったからこれも違う、経済的に貧窮していたわけでもない、欝と思われるような症状もなかった、順風満帆の人生だと思っていたのにと家族や親族が混乱状態に陥りました。

 

 当時の教員は児童に対して絶対君主として君臨出来て、叩いても虐めてもどこからも文句は来ない、稀に文句を言う親がいてもPTAが捻り潰す、といった状態で勤務が出来て、今ほど忙しくもなかったので、学力がある人が就くかなり美味しい職業でした。

 

 遺品のなかで、書籍は教員の持っているようなものが主体でしたが、「ゴルゴ13」が、連載が始まって6年くらいで初期だったのですが、出ている物は全巻揃っていたのが印象に残っています。「ゴルゴ13」と自死も結びつきません。

 

 その経験があるので、自死の理由は本人しか分からない、100人自死したら100通りの人には分からない理由があると思っています。生活保護が受けられないからといった、ひとつのことに理由を求めるのは絶対に間違っています。