ブラタモリの終了  | 夏炉冬扇の長袖者の尉のブログ 

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 NHK総合テレビで土曜の午後7時30分から放送されていた「ブラタモリ」が3月で終了します。レギュラー番組になったときには、NHKは、街歩きの達人・タモリさんが、“ブラブラ”歩きながら知られざる街の歴史や人々の暮らしに迫る番組だと宣伝していました。当初はタモリ氏の好みで誰もわざわざ行かないような、有名でもなんでもない土地に行って、持ち前の好奇心であれこれ見て歩いて、得意の地学の知識で地形や地質の個性を語るといった内容で、3月に刊行される『最新 地学事典』には、新項目『ブラタモリ』が掲載されます。地球科学の普及に果たしたこの番組の歴史的意義を、地学事典の利用者に伝えていくということで、専門家からも注目されている部分もありました。

 

 コロナでロケが難しい時期がありましたが、そのあたりを境に番組は急速に詰まらなくなって行きます。観光地でも名所でもない場所にタモリ氏の好みで行くという趣旨だったのが、当たり前の誰でも知っている観光名所を回るただの観光案内なって行きます。

 

 最大の要因は番組が人気になったことです。人気になってNHKの地方局がうちへも来てくれと勧誘するようになり、タモリ氏が行くと、行政が紹介したい名所旧跡の観光地を連れまわすことになります。

 

 タモリ氏は好奇心の持ちようがなく、地元が用意した案内の人の言葉に生返事を繰り返すだけになります。さらに地元が用意した人が出す、観光案内的なクイズが誰にも分かるくだらないもので、タモリ氏は分かり切っていることを仕方がなしに答えることになってきます。最初の頃の、テレビを見ている人には容易に分からない、地学の知識が豊富なタモリ氏だから分かるというクイズとは、全く質の違う情けないものになっていました。

 

 最悪だったのが敦賀へ行った回で、北陸新幹線の敦賀までの開業の露骨な提灯持ち企画で、国策に協力していて番組が面白くなるはずがありません。同じ鉄道が出て来ても、伊勢へ行った回で、近鉄の宇治山田駅で、鉄道用のホームが残って先にはバスの転車台も残っている、バスと鉄道車両が同じ高さで並ぶというこの一風変わった光景は、かつて、お伊勢参りに来た人々が、宇治山田駅において、鉄道からすぐにバスへと乗り換えられるようにとの配慮から、わざわざ設けられた施設の痕跡なのだということが紹介されていたが、興味の持ちようが全然違う。

 

 詰まらなくなったとはいえ、そういう変化に敏感でない人たちもいますから、視聴率的には今でも合格ラインを行っているのですが、分かる視聴者が詰まらなくなったと感じているのですから、やっているタモリ氏がこれは詰まらない番組になってしまった、もう嫌だと思ったのではないかと私は考えています。表向きは高齢と言っていますが、本音としてはこちらだと思います。

 

 1人の芸能人の好奇心と博識で始まった面白い企画を、NHKの上の方の人たちの勝手な思惑で潰してしまったのが、この番組の終了であると言えます、

 

 ↓ バスの転車台