天国 | 夏炉冬扇の長袖者の尉のブログ 

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 年末のNHKで、出雲の黄泉比良坂をやっていました。日本神話に出て来る黄泉比良坂は黄泉の国と現世の境にある坂なのですが、そういう場所を作った人が昔にいたらしく、各地の話題のような感じで紹介していました。

 

 高さ2メートルくらいの貧弱な石柱が2本立っていて、その間に綱が張られていてそこが入り口で、少し行くと石が3つ立っていて、そこが黄泉の国の入り口だそうですが、通り抜けたらただの森があるだけです。

 

 どこにでもある嘘臭い施設ですが、そこに霊界ポストというもっと嘘臭いものがあって、天国(黄泉)にいる人に手紙を書いてここに入れてください、と書いてあったのです。黄泉が天国なのか、日本神話では黄泉比良坂は坂を下って地底に行く感じで描かれています、天へ上がって行くという発想はありません。天上は高天原であり、そこは神の世界で死んだ人間が行く場所ではないのです。

 

 天国は辞書では、キリスト教で、信者の死後の霊を迎えると信じられる世界、霊魂は神から永久の祝福を受けるとなっています。絶対に日本神話に出て来る黄泉の国とは違います。

 

 天国(黄泉)にいる人などと書かなくても、泉下の人とすれば簡単に分かる正解のはずですが、黄泉比良坂に霊界ポストを作った人の頭では死者は天国にいるのです。

 

 小渕恵三氏が亡くなって、森喜朗氏が葬儀委員長になって自民党葬をやったときに、森喜朗氏は神の国の総理なのだからきっとそういう表現をしてくれると、神道の関係者が期待していたら、天国の小渕さんと呼び掛けたのでずっこけたという話があります。日本は神の国と言った森喜朗氏でも、いつの間にか死者は天国という発想になっているのです。

 

 子どものころには、死者は天国でも黄泉でもなく、極楽浄土か地獄に行くと教わりました。いつから仏教も神道もみんな天国になってしまったのか、いよいよ日本人がバカになってきた感じがします。