死刑判決  | 夏炉冬扇の長袖者の尉のブログ 

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 京都アニメーション放火殺人事件の容疑者の青葉真司被告に死刑判決が言い渡されました。ふつうであれば全身火傷で死ぬ状態であった人を治療して死刑にするために助けたわけで、これは自殺未遂を行なった東条英機を死刑にするために治療したのと同じですから、この判決は仕方がないといえます。

 

 昨年のことになりますが、青葉真司被告の公判があったあとに、知っている弁護士さんと雑談する機会があって、そのときにこの公判の話になって、私が青葉真司被告の弁護団の主張は認められないように思いますがと言うと、弁護士さんは、被告人に良いところがひとつもない場合には心神耗弱になる、被告人が自分の作品を京都アニメーションに盗まれたと言えば、あり得ないと思っても公判では言わなければならないのが弁護士だからとおっしゃいました。

 

 私が、今の日本は、弁護士さんの仕事が理解されず、特に刑事事件の場合には、検事も裁判官も裁判員も弁護士も傍聴人も、みんなが被害者遺族の立場に立って、容疑者にお前は死刑だと言わねばならないような空気になってきているのではと言うと、弁護士は仕事でやっていて、被告人側に立ちその意志を述べることが法律で定められている、つまりはそういう役割なのだがそれが分かってもらえないとおっしゃられます。

 

 青葉真司被告は金を持っていないので担当弁護士さんは国選でしょう、国選の日当は安いので、手間のかかる調査はとてもできません、したとしても公判の結果を変えるような証拠は出ません、実際にこれくらい被告人に良いところのない事件も珍しいのです。担当弁護士さんは話をすれば、青葉真司被告が心神耗弱でないことは感触で分かります、分かっていてもこれを言うしかないのがこの裁判の弁護活動でした。

 

 青葉真司被告の場合には裁判が始まる前から量刑は決まっているようなものでしたが、多くの被告人のなかには冤罪の人もいるでしょうし、求刑が不当なほど重い人もいるでしょう、公正な裁判のためには弁護士が被告人の意志を語ることは大切なのですが、今の日本人は公正な裁判のよりも犯人を懲らしめることを優先するべきだ、公正や中立は悪人の味方だ、あらゆる人たちが力を合わせて被告人を極刑にするべきだといったとする、とても危険な意識に突っ込んで入っています。