正月の食い物を、今はお節と言いますが、昔は食積とも言っていました。こちらは分かり易い名称で食うものを積んでおくわけで、正月は保存食で縁起担ぎにもなっている食い物を皿や重箱に積んでおき、それで酒を飲んで雑煮を食べていたのです。
私が子どものころのお節は、蒲鉾、伊達巻、黒豆、田作り、紅白膾、昆布巻き、栗きんとんといったもので、1年で最高の御馳走でこれでした。縁起物であれば海老や鮑や数の子がはいるはずですが、そういう高いものが出ることはありませんでした。
今では、写真の様なセットを購入しています、蒲鉾、伊達巻、黒豆、田作り、紅白膾、昆布巻き、栗きんとんいったものは入って入るのですが、分量が少なくて、入れないとお節にならないから仕方なく入れているという感じで、実際にこの種のものは正月が終っても食べ残されることが多くなっています。
家族が喜んで食べるのは、昔からのお節には無い、豚肉や鶏肉を原材料にした洋風の料理です、魚でも鮭の塩焼きはダメでサーモンマリネだったら喜んで食べるのです。日本風の料理で辛うじて人気があるのが、伊勢海老と鮑ですが、これは価格が高いので、材料の良さで食べているだけです。
昔のお節は代表的な日本料理なのですが、これが美味しくないから嫌われる状態になって来ています。昔からの日本の食いものには、美味しく食べされる工夫が少ないように感じます。
子どものころの雑煮は、餅と菜っ葉しか入っていなくて、固くて冷えた餅を汁で煮るので表面が溶け出して来て、汁が固まる前の生コン状態なのですが、親は雑煮なんてこんなものだとして平気で食わせていました。
大人になって試してみたら、オーブンで餅が膨らむくらいまで焼いておいて汁に入れて短時間加熱すれば、汁の中で餅が溶け出すことはないのです。入れる物も菜っ葉だけでなく、蒲鉾や椎茸や鶏肉を入れることにしました、途中から鶏肉ではなく鴨肉を入れることにしました。雑煮に関しても、日本人は美味しく食べる努力をしていないのです。