【 このブログは、25年前、重症再生不良性を発病し、骨髄移植をうけた当時の家族や、周囲の人たちの、記録となります。

当時の日記があって、育児日記や忘備録も兼ねていますので長文すみません。ブログ主は、現在元気で生活しています。】

 


 

11月29日(水曜日)

 

ステロイド治療1週間続けた上、新しい免疫抑制剤とかなり体にこたえる(副作用)。

動悸激しい。めまい。しびれ、頭痛、むかつき。

 

わけわからん。

 

このまま余計悪くなるのではと不安に思い爆発。

 

先生がガンガン薬を増やしすぎじゃないか。

O島先生としゃべる。

カルテを見せてもらう。

数字と薬との関係など。

肝臓に出てるのはGVHDかどうか迷ったけれど、とりあえずこの方法で行くことになった判断材料。

 

胸のつかえがすーっとした。

気長に行こう。

薬を飲んで副作用とも上手に付き合えるな。

納得さえできれば。

ほっとする。





やっぱり、やっとの思いで書いた、殴り書きの日記。

 

O島先生は、頻繁に様子をみにきてくださってた。

 

とにかく、質問や文句が多い、この患者に納得するまで、付き合ってくださった。

疑心暗鬼で、後ろ向きなわたしに、カルテをみせて説明してくださった。

O島先生は、なんでもハッキリものをいう超理系という感じ。

なんでも、包みかくさず、答えてくれる。

ワタシの性格に合わせてくれてるのかな。

そのほうがいい。

こっちは、とにかく、データや、事実を知りたいのだから。

ネットで調べるみたいに。

すぐに、答えてくれるのが気持ちいい。

 

経験値のある、他の大学まで問い合わせたらしい。

これが、GVHDかどうかの判断を。

 

「H庫医大に問合せてるんだけど…。」

 

このフレーズがO嶋先生の口から、よくでてくる。

信頼できる経験豊富な先生がいらっしゃるのかな。

 

GVHDなら、ステロイド追加。

 

薬剤による肝機能低下なら、逆に薬は減らす。

 

その両方いっぺんに出てることもある。

 

ステロイド追加により、免疫がますます低下。

そのせいで、感染症にかかるリスクが増える。

抗生剤、抗菌剤は欠かせない。

そうすると、肝臓の負担になる…。

というジレンマ。

 

ビリルビン値は上がり続け、9を越えて、目は黄色くなってる…。


ALTは1700を超えたと、カルテにあった。

1000を超えて、ヤバいといってたけど。

 

「先生、どうして下がらないのかな~。」

 

「うーん、でもH庫医大の先生、絶対GVHDって、断言するんだよね。」

 

ただ、無菌室にきてから、手元に資料もないし、数字のことはよくわからない。

 

ビリルビン 9 って、高いの?どうなの?

 

今なら、スマホで調べられるのに。

 

「先生、これGVHDだとしたら、グレードはいくつになります?」

 

「ん〜…。グレードは…。」

 

「Ⅳ・・・。」

 

「…。」

 

致死率80%…。のやつや~ん。

 

 

しゅーん…。



 

なんというか、消えそうになってしまった。

文句言いは、影をひそめた。

でも、O島先生、ありがたい。

ちゃんと、言ってくれるから。

 

「ほんでも、コジマさん、思ったより元気そうだねえ。」

と。

 

「そ、そうなんですかね?結構しんどいのに…。」


でももう、しゅーんってなった。



 

そういわれて数日後かな、これはもう死ぬときかなーと思うくらい、動けない日があった。


経験したことがないくらい、体が動かせない。


ベッドに磁石で張り付いてるみたい。

すごく重力を感じる。

下に引っ張られてる感じ。

考えたりする気力もなく。

もうどうでもいい。

なにも、考えることもなく。

HPはとうとう残り1。

生気を失ってしまった。

そんな日があった。

 

O島先生が言ってたのは、こういうことなんかな。

今まで、こういう人をみてきたのだろうな。

死の寸前の人を…。


先生と受け答えしてる時は、まだマシだった。

 

と、あとで思った。


ガラス窓の廊下側から、写真をベタベタ貼ってある。




枕元には、加代子さんからもらった、オルゴール写真立てがある。



「しんちゃん、ゴメンね…。ママダメかも。」

 


それまで、まーさんもえみちゃんも、心配していつも電話くれてたんだけど。

このころは、強く断ったようだった。

 

日記に殴り書きが残ってる。

こころの叫びが。

だれも会いにこないでほしい、電話もしないでほしい…。



 

「また、こっちから電話するからー。」

 

私の場合、家族の励ましは、プレッシャーになってしまう。

ひとりで、先生と今の状態を話し合うほうが、いい。

 

もう、電話にでたり、いい状態でもないのに、「大丈夫よ」というのもつらい。

もちろん、誰にも会いたくない…。

 

のに、面会の人が…。

 

次回、来週火曜夜更新予定です。

「まさかの面会 ガラス越しの無菌室」

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