金融庁 出身 伊藤公祐 と申します。

金融庁に在籍していた頃、私は日々「問題が起きない状態」をどう維持するかという視点で仕事をしていました。
表面上は順調に見えていても、少し視点を変えるだけでリスクの兆候が見えてくる。
そんな環境で長く働いていたせいか、今でも物事を見るときは自然と“その先”を考える癖があります。
 

現在は民間で営業支援やコンサルティングに携わっていますが、実はこの「リスク感覚」が
提案力に大きく役立っていると感じています。
 

営業というと、どうしても商品の魅力や数字に目が向きがちです。
しかし実際に信頼される提案というのは、「この先どんな問題が起きそうか」「どこに見落としがあるか」を
先回りして考えられているものだと思います。
 

金融庁時代、私は多くの現場を見てきました。
順調に見えた組織が、小さな認識のズレから大きな問題につながるケースも少なくありませんでした。

だからこそ今でも、提案資料を作るときには「相手が後から困らないか」を最優先で考えます。

例えば短期的には魅力的に見える施策でも、運用負荷が高すぎれば現場は疲弊します。
説明が曖昧な契約は、後々トラブルの火種になります。
そうした“未来の違和感”を先に察知できることは、金融行政で培われた感覚なのかもしれません。
 

もちろん、慎重になるだけでは前に進めません。
だから私は、「守る視点」と「挑戦する視点」の両方を持つことを意識しています。
リスクを恐れるのではなく、正しく理解したうえで前進する。
そのバランスが、これからの金融業界にはより重要になると感じています。
 

最近はスタートアップや新しい金融サービスに関わる機会も増えました。
変化のスピードは速いですが、本質は変わりません。
信頼は、一つひとつの丁寧な判断の積み重ねでしか生まれない。

金融庁で学んだリスク感覚は単なる“警戒心”ではなく、相手に長く安心してもらうための視点だったのだと
今になって実感しています。