歯は大体お子さんが年長さんの頃に歯がグラグラしてきて、乳歯から永久歯に生え変わります。
新しい臼歯が生えそろうのも合わせると12〜13歳ころまでにゆっくりと生えそろっていくこととなります。
歯の生え変わりは個人差がありますので、多少遅くても過度に心配する必要はありませんが、全く問題がないというわけでもありません。
中には歯の生え変わりを邪魔している原因が潜んでいる場合や先天的に永久歯が欠如している場合もあります。
そこで今回は『乳歯の生え変わり時の注意していただきたいポイント』についてお話ししたいと思います。
正常な永久歯の生え方としてはまず、
①歯茎の中で乳歯の下にある永久歯が乳歯の根本を刺激します。
②刺激を受けた乳歯の根は徐々に溶けるように短くなり抜け落ちます。
③抜け落ちたところに永久歯が出てくる。
このような流れで生え変わります。
これが正常に行われないものが注意していただきたいポイントです。
1、乳切歯の残存と下顎の切歯の舌側転位
乳歯の後ろから永久歯が生えてくる状態のことです。
乳歯がグラグラしてもう少しで抜けそうならば様子を見て良いのですが、全く抜けそうになくレントゲン上でも乳歯の根っこが長く残っている状況であれば乳歯を抜歯することがあります。
歯が2列になっている状態なので歯並びに影響しますし、歯磨きもしにくいので虫歯にもなりやすくなるからです。
2、永久歯の萌出遅延
永久歯がなかなか生えてこないことです。
埋没や他の歯が邪魔してスペースがない、組織の異常などで永久歯の萌出(歯が出てくること)を邪魔している場合、状態に合わせた処置をする必要があります。
あまりに永久歯が出てこないとなると、自力では出られなくなりそのうち歯が溶けて吸収されてしまう場合もあります。
また、永久歯が正常なスペースにないことで周りの歯の歯並びにも影響します。
3、第1大臼歯の異所萌出
2と同じような理由から第一大臼歯が正しいスペースに生えてこない状態のことです。
歯並びに影響しますし、例えば隣の乳歯の下に入り込んでいたりすると本来まだ抜ける必要のない乳歯が早くに押し出されて抜けてしまうこともありますので必要に応じて矯正治療が必要です。
異所萌出で言えば臼歯だけでなく歯列からずれた場所に生える八重歯もよく見かけます。
4、永久歯の過剰歯
正常の数より多く存在する歯のことです。
通常通り外に生えてくる過剰歯もあれば、逆向きの内側に生えていく過剰歯もあります。
逆向きのものは埋まったままになってしまいますので処置をします。
通常の生え方の過剰歯は歯並びや噛み合わせに影響を及ぼしますので必要に応じて抜歯や矯正治療を行います。
特に大きな問題がない場合は処置が不要な場合もあります。
5、永久歯の先天欠如
何らかの原因で顎の中で歯が形成されないことです。
約10人に1人の割合で見られることがわかっています。
大体、先天欠如があるかどうかの判断は7歳以降を目安としています。
もし先天欠如が見つかれば、できるだけ長くその部分の乳歯を長く使うため歯のケアを徹底し、定期的な管理も必要となります。
乳歯で代用できない場合は矯正治療や人工の歯で補う治療を行う場合があります。
(nico 2023年2月号より)
これらはいずれも歯並びや噛み合わせに影響する問題です。
歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼすと虫歯や歯周病の原因となります。
特に前歯の生え変わり時期は要注意です。
日頃の観察と、お子さんの歯の健康状態管理の意味でも定期的な歯科検診を受けましょう。
参考文献:nico 2023年2月号
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