松村潔先生の「完全マスター西洋占星術」には「プログレスの月」について、次のように記載があります。
第1ハウスから第6ハウスが終わるまでの地下のサイクルは、およそ14年間になります。思春期の頃に地下サイクルに入ると、人格形成はもっぱら地下の経験に彩られていくので、誤った自己イメージがつきがちです。どんなにすごい人でも、この地下の14年は目立たないし、何か大きな仕事をしようとしても周囲から認知されずに、失敗することが多いのです。
反対に、仕事をしたくない人、目立ちたくない人、趣味にはまりたい人から見ると、穏やかで気楽な14年だったと感じられるでしょう。
これ、占星術を学び始めたばかりの頃に読んだ時は、おそらくスルーしてしまっていた内容だと思いますが、今ならすごく重要なことが書いてあると理解できます。
私の場合、ネイタルチャートでは12ハウスの月なので、「月の年齢域」「水星の年齢域」のおおよそ15年間は、「プログレスの月」が1〜6ハウスの地下のサイクルを運行していた時期とほぼ重なります。
もともとホロスコープの下半分、1〜6ハウスに天体が多いなど、社会的な活動よりもプライベートを重視するようなネイタルチャートである場合は、このプログレスの月の動きは「穏やかで気楽な14年」に感じられるのかもしれません。
自己イメージとの矛盾がないというか。
ただ私の場合、「太陽」「月」「火星」が半球の上側にあり、6ハウスにある「水星」も5度前ルールでは7ハウスになり、さらにいえば、社会天体である「木星」がMCにコンジャンクションしているなど、どうしても社会的な活動に意識が向きがちなネイタルチャートになっています。
なので、「プログレスの月」が1〜6ハウスに運行中で、気持ちがプライベート部分に向かったり、表舞台に立つことを躊躇する時期にあったとしても、ネイタルチャートとしては逆の性質を本来持っているので、穏やかで気楽な反面、どこか満たされず、かといって、殻を破るのには躊躇してしまうような思いを中学生くらいまでは感じていました。
「本来の自分はこんなんじゃない!」というやつです。
もちろんこれは、「プログレスの月」だけの影響ではなく、もともとの資質もあってのことなんですが、「目立ちたくないし、気楽なのがいいんだけど、そんな自分を見つけて評価してほしい」といっためんどくさいかんじの気持ちを常に抱えていた気がします。
あくまで自分の場合ですが、自己を形成する幼少期にプログレスの月の動きががネイタルチャートとの性質に不一致の傾向が強い場合、自己肯定感や自尊心が育ちにくい傾向にでるのかな、なんて思ったりもします。
でも、「金星の年齢域」に入った頃に、ちょうどプログレスの月は7ハウスに入るんですね。
今も「高校デビュー」なんて表現するのかは分かりませんが、まさにそんなかんじで、今思えば気持ちの面で大きな変化がありましたし、趣味やアルバイトを通して交友関係が広がっていった時期にも重なります。
ちょうどこの頃、トランジットで長期間形成されていた「天王星」と「海王星」のコンジャンクションが、わたしのネイタル金星にのり、この金星を含む「月◻︎木星◻︎金星」のTスクエアに影響を与えていたのもかなり大きいと思います。
わたしは「水星」と「金星」が同じく山羊サインなので、天体の年齢域の変化を、あくまで「サインの性質の変化」のみでみた場合は、性質が大きく違ってくるということはありません。
ただ、プログレスの月が「人と関わる事に意識が向く7ハウス」に入るというのは気持ちの面でだいぶ違ってきます。
半球の上側が強調されたネイタルチャート対して、プログレスの月も同じように上側に入ってくる。
理想の自己イメージにちょっと近づいたきた感覚を覚えはじめていたし、自分が社会の構造の一部として機能し、居場所を確保する事で、12ハウスの月が引き篭もりたくなっても、後ろめたさを感じなくなってきたというか。
これはプログレスの月が10ハウスを運行中の今でも同じように感じることですが、「社会活動を頑張っている自分」を肯定的に捉えることができるからこそ、「1人の時間が大切な自分」を受け入れられるというかんじです。
「プログレスの月」の運行サイクルは「トランジット土星」の運行サイクルと近いのですが、特に最初の一周は、P月もT土星も人格形成に大きな影響を与えるのではないかと思います。
そして1回目のサターンリターンで、それまでの生き方を振り返る。
上手いことできているとな思います。
これは「プログレスの月」の記事でも取り上げていますが、P月が10ハウスをはじめて運行していた時期、わたしは「仕事」として社会での立ち位置の獲得に気持ちが向かいつつもうまくいかない現実がありました。
ちょうど「就職氷河期」と呼ばれた時期です。
10ハウスにはN木星があるものの、ちょうどT土星がきていた時期でもありました。
「社会での居場所を獲得したい」という気持ちを抱えつつ、現実では思い通りにいかないという経験。
こういうのも自己否定につながりやすいと思います。
でも「プログレスの月」にしても「トランジット土星」にしても、「一回目は練習」みたいなところもあるのでは?と思うのです。
わたしはこの時、望んでも思い通りにならない経験をしたからこそ、サターンリターンで自分と向き合い、この先の人生のために今できることは何かをとにかく考えました。
ちょうど同時期に1ハウスを運行中だった「プログレスの月」にも助けられたと思います。
自分を見つめ直す時期だったんですね。
プログレスの月というと、「プログレスの新月」が、大きな区切りになるのはもちろんそうだと思いますが、1〜12ハウスのプログレスの月が最初にホロスコープを一周するのに合わせ、自分の気持ちの変化がどんなふうに起こったかをみていくことで、次の一周、それは2回目のサターンリターンまでの時期を生きる上での参考になるのではないかと思います。
ちなみに「プログレスの月、10ハウス運行中2回目」である今現在は、前回のT土星とは違い、 T木星が10ハウスを運行しているのはうまくできているなと思います。
そして動きの比較的早い「木星」だけではなく、T天王星も10ハウスを運行中です。
天体それぞれの運行速度が違うことから、一概にラッキーともアンラッキーともいえない状況が、占星術の面白いところだと思いますし、そこをチャンスとして使えるかどうかも自分次第だと思います。
「天体が悪いことを起こすのではない」
これは、よく言われることでもありますが、経験を通してやっぱりおんなじように思います。
わたしの太陽のサビアンシンボルそのままですね。↓
「情熱に背を向け自分の経験により教えている男」
さらにいえば「土星」と「冥王星」など一見嫌がられそうなトランジットの天体がきていたとしても、捉え方次第だと思いますし、怖がる必要もないんだと思います。
「大きな壁」や「何度も打ち寄せる荒波」としてそれは表れるかもしれませんが、それを乗り越えた時、新たな安定を築いていく力が備わっていて、それは今後の人生に大きく活かせるものになっていくのかもしれないし。
人は正体不明のものに「恐怖」や「不安」を抱きます。
でも自分の性質や、過去検証による星の影響を考えて理解が深まると、トランジットやプログレスの星の動きが、自分にとってどんな意味があるのか、何に取り組むタイミングなのか、頑張る部分はどこなのかを教えてくれるんじゃないかと思います。