6月4日発売の週刊新潮(6月11日号)に掲載された焼肉屋にかかる記事について、事実に反する記述などが多数あることから、以下のとおり事実関係を説明します。

 

1(はじめに)

本件は、条例で定めた基準値を超える騒音被害について、伊藤と近隣住民とともに焼肉屋と交渉してきたものの、焼肉屋から任意の改善策がとられないことからやむなく東京地方裁判所に提訴したものです。

東京地裁は、審理の結果、焼肉屋に対し、ダクト及びファンの使用禁止の仮処分命令を発令しました。しかし、発令後も焼肉屋が裁判所命令を無視してダクト及びファンの使用を継続して営業を続けていることから、今回やむなく間接強制を申し立てた次第です。

そのような中で、週刊新潮から突然の取材申込があり、取材をした週刊新潮記者には、別添のとおりの回答を送り、基準値を超える騒音被害を今日まで出し続け、裁判所の命令さえ無視し続けている事実を説明しました(別添「回答書」)。ところが、今回掲載された記事は、あらかじめ記事の方針が決まっていたとしか思えないほど、焼肉屋の言い分のみに偏重した意図的に歪曲されたものでした。本件が仮処分であり、一般に公開されていない手続であるにもかかわらず、なぜ週刊新潮がそのことを知ったのか、いったい週刊誌と焼肉屋との間にどのような関係があるのだろうかと驚いています。

今後、弁護士とも相談し、法的措置を踏まえ検討をすることとします。

以下、事実関係を説明します。

 

2(昨年1月から続く条例違反の騒音被害)

記事にある焼肉屋は、昨年1月下旬からダクトの騒音がひどく、港区が騒音計測したところ東京都環境確保条例に基づく基準値を超えていることが判明しました。港区の協力を得て、近隣住民として騒音の是正を焼肉屋と何度も交渉しましたが、合意には至りませんでした。

 

 

3(東京地裁が仮処分命令を発令)

その時点で、3か月近くの長期にわたり騒音に悩まされていましたので、やむなく東京地方裁判所に仮処分の申し立てをしました。その結果、裁判所が約1年の審理を経て、本年4月20日にダクトと排気ファンの使用を禁じる仮処分命令を発令しました。

なお、本件記事に焼肉屋が改修工事をしたとの記述があります。しかし、裁判所の審尋が行われる中で焼肉屋が改善策を行ったものの、条例基準値をクリアするに至らない程度の改善策であったことから裁判所が発令をするに至ったというのが事実です。本件記事中に「先方にも納得いただけるほどに改修しました」との焼肉屋のコメントがありますが、そのような事実があるとすれば裁判所が使用禁止命令を出すはずはなく、コメントの内容が事実に反することはご理解いただけると思います。

 

4(裁判所命令を無視した営業強行)

しかるに、4月20日以降も焼肉屋はダクトとファンの使用を一向に止めることなく営業を続けていることから、4月23日に焼肉屋の代理人である弁護士に当方代理人弁護士を通じて問い合わせをしたところ、仮処分に対する執行停止決定を得ることなくダクト等を使用して営業を継続させていることが判明しました。

そして、焼肉屋のホームページを確認したところ、テイクアウトは午前11時30分から午後10時、店内での飲食は午後5時から午前0時となっており、特定の休日は存在していませんでした。また、現在の新型コロナウィルス対策について触れる部分もあるものの、営業を停止する旨の記載も見当たりませんでした。そして、28日午後6時過ぎころ、当方代理人が焼肉屋のダクト等の使用及び営業を確認しました。

 

5(間接強制の申立て)

仮処分について不服があるのであれば、執行停止の決定を裁判所から貰う必要があるのですが、焼肉屋側では法律上の適切な措置を取ることなく、裁判所の命令違反を強行し続けました。そうなれば、あとは再度裁判所による間接強制を判断してもらうほかなく、やむなく5月1日に東京地方裁判所に間接強制の申立てをしました。

 

6(強制金の算定について)

間接強制の強制金の算定については、当方代理人に確認したところ、裁判所の命令を無視して営業を強行する債務者であることから、裁判所命令に違反して営業しても割に合わないと感じる金額である必要があり、焼肉屋の決算書など所得が分かる客観的な資料もないので、「食べログ」に掲載されている座席数と客単価から1日あたりの売上を算定基礎として算定したものであり、適正な計算であるとの説明を受けており、「法外な要求額」というのは当を得ていません。

 

以上

 

【ご参考】

なお、参考として、同記事掲載前に週刊新潮の記者より取材申し込みがあった際に、当方代理人弁護士より新潮社に対して回答した内容を下記に示します。

 

株式会社新潮社

週刊新潮編集部 福田雄一様

 

回答書(5月30日付取材のお願い)

令和2年6月1日

衆議院議員伊藤信太郎代理人

弁護士神崎浩昭

 

冠省 貴誌から伊藤信太郎氏宛に上記取材書を受領しましたので、本件裁判を受任している当職から回答します。

 

今回の件は、条例で定めた基準値を超える焼肉屋からの騒音被害について、近隣住民として相手方と交渉してきたものの、任意の改善策がとられないことからやむなく裁判手続きとなりました。その結果、東京地方裁判所が焼肉屋に対しダクトなどの使用禁止の仮処分命令を出したものの、焼肉屋が裁判所命令を無視してダクト等を使用した上で営業を続けたことから、今回やむなく間接強制を申し立てたということです。以下ご説明します。

 

ご質問の焼肉屋については、昨年、平成31年1月下旬からダクトの騒音がひどく、港区が騒音計測したところ東京都環境確保条例に基づく基準値を超えていることが判明しました。港区の協力を得て、近隣住民として騒音の是正を焼肉屋と何度も交渉しましたが、合意に至りませんでした。

 

近隣住民としてその時点で3か月近くの長期にわたり騒音に悩まされていましたので、やむなく、平成31年4月、東京地方裁判所にダクト・排気ファンの使用差し止めの仮処分の申し立てをしました。その結果、裁判所が、約1年の審理を経て、本年4月20日にダクトと排気ファンの使用を禁じる仮処分命令を発令しました。しかるに、4月20日以降も焼肉屋はダクトとファンの使用を一向に止めることなく営業を続けていることから、4月23日当方から焼肉屋の代理人弁護士横粂勝仁先生に対し問い合わせをしたところ、執行停止決定を得ることなく営業を継続させていることが判明しました。

 

そこで、焼肉屋のホームページを確認したところ、テイクアウトは午前11時30分から午後10時、店内での飲食は午後5時から午前0時となっており、特定の休日は存在していませんでした。また、現在の新型コロナウィルス対策について触れる部分もあるものの、営業を停止する旨の記載も見当たりませんでした。そして、28日午後6時過ぎころ、当職が現地を確認したところ、焼肉屋のダクトとファンの使用及び営業を確認しました。

 

仮処分について不服があるのであれば、執行停止の決定を裁判所から貰う必要があるところ、焼肉屋側では法律上の適切な措置を取ることなく、裁判所の命令違反を強行し続けました。そうなれば、あとは再度裁判所による間接強制を判断してもらうほかなく、やむなく5月1日に東京地方裁判所に間接強制の申立てをしました。

なお、間接強制の強制金の算定については、当職が算定しました。その根拠は、裁判所の命令を無視してダクト及び排気ファンを使用した営業を強行する債務者であることから、裁判所命令に違反して営業しても割に合わないと感じる金額である必要があり、焼肉屋の決算書など所得が分かる客観的な資料もないので、「食べログ」に掲載されている座席数と客単価から1日あたりの売上を推定し抑止的な趣旨の加算をした上で算定したものです。

 

貴誌の質問内容を見ると、コロナ禍で苦しむ飲食業者に多額の強制金の支払いを求めることについて問題視されているようですが、以上の次第であり、そのような疑念があるとしたら当たりません。代議士まで務められた弁護士が代理人として就任されているにもかかわらず、なぜこのように法を無視した営業が敢行されているのか、大変遺憾です。

 

以上