こんばんは
先週末から、実は私はエネルギー視察ウィークで、
土曜日は今年50周年を迎えた黒部第四発電所へ、
そして今日は,エネルギー資源学会の皆さんと柏崎刈羽原子力発電所の安全対策を見てきました
今、柏崎から帰ってきたところなので、まずは柏崎刈羽原子力発電所の安全対策から。
私は過去2回、柏崎刈羽原子力発電所を視察したことがあるのですが、
今日訪れて、まず、ずいぶん景観が変わっていることに驚きました。
何かといえば、
高さ海抜15メートルの防潮堤が立ちはだかり、これまで見えていた海が見えなくなっていたこと。
事故を機に津波の想定が見直されて、これまでの3.3mから6m(遡上は最高8.5m)になりました。
この通りで対策を施すなら10m位で大丈夫かとも思います。
でも、とにかく「想定外は起こりうる」という考え方から、15mにまで引き上げて建設したそうです。
おそらく、福島と同程度の津浪に襲われながらも無事だった女川原子力発電所の敷地高が、海抜15mだったこともひとつの目安だったかもしれませんが、
かなり思いきって決断をしたなぁという印象です。
でも…
防潮堤といえば、
東日本大震災で、津波をくい止めるはずだったスーパー堤防がバタバタと倒れたイメージがあって
この防潮堤なるもので本当に波を受け止められるのか
という疑問がわいてしまいます。
あの壊れた防潮堤と一体何が違うのかと聞いてみると、
震災で倒れた防潮堤は、海底にコンクリートを埋めたもので、
津波で基盤部分の砂が削り取られてしまうと倒れてしまう構造のものだったとのこと。
こちらの防潮堤は、20~50m地下の岩盤に基礎を打ち付けているので、
絶対に倒れない!とのことでした。
なるほど…。
この「岩盤に打ち付ける」ということの効果だけは、
私は中越沖地震の後に柏崎刈羽原発に入ったときに実感したので、わかるような気がしました。
地震の強さだけでいえば、東日本より中越の時の方が大きかったようで、
はっきり言って直後に入ったときは、敷地内は陥没したりうねったり…メチャメチャだったんです。
でも、そんな中で岩盤に打ち付けてある原子炉建屋だけは、びくともしてなくて、
正直驚いたことを覚えています
そして、万が一の時に放射性物質が拡散しないよう義務付けられた「フィルターベント」。
思っていたよりかなり大がかりな施設でびっくりしましたが、これも同じように基礎を施しているとのことでした。
その他、電源や水を高台に分散して確保したり、
水が乗り越えて入ってきても建物には入らないよう工夫したり、
色んなシチュエーションを想定して多様に対策を立てている点は、
事故の教訓が生かされているなぁと私は感じました。
ただ、やはり気になるのは使用済み燃料。
福島の4号機の事故でもわかるように、発電所内の高いところでプールに浸かっているだけの状況は、どうしても無防備に思えるのです。
聞いてみると、
やはりそれは、なんとか対策をとらなければならないという認識で、
ドライキャスクに入れて管理する方向で動いているそうです。
そして、この放射性廃棄物に関しては、最終処分場が決まっていない…。
これだけは、再稼働するしないにかかわらず、早く何とかしないと
その意味においては、小泉元総理の発言は、この事実を広く再確認させてくれたと思っています。
さて、視察後には地元の方々と意見交換の場もありました。
地元の方々にしてみれば、
国のエネルギー政策に基づいて首都圏の電源地域として貢献してきたつもりなのに、
事故で、一気に手のひらを返された状況になってしまいました。
お話をお聞きすると、その複雑な想いが痛いほど伝わってきました…。
経済への影響も深刻です・・・。
そんなこと言っても安全が第一
それはもちろんです。
それは原子力発電所から遠く離れた私達都会の人間より、地元の人が一番わかっていることです。
首都圏に住む私達は、ずっとここで作られた電気をほとんど意識することなく使ってきました。
こうした地域の立場に立ってみることが、どれだけあったでしょうか?
イメージだけで遮断するのではなく、こうした地域と一緒に現状と対策を見ながら真剣に検討することも、
都会の消費者として必要なことなんじゃないかな・・・。
今日はあらためて実感したのでした。
おまけ:
柏崎の鯛茶漬けは、「全国ご当地どんぶりグランプリ」で優勝したそうで、