こんにちはキノコ


すっかり秋らしい気温になってきましたねもみじ


そのおかげで、私は残念ながら風邪が悪化してしまい、

ちょっとしんどい毎日を過ごしておりました汗


ようやく回復してきたんですけどね・・・ガーン

急激な気温の変化に皆さんも気をつけて下さいねヒヨコ




さて、今日はインドで取材してきたBOPビジネスについてご紹介しますビックリマーク


これまでも何回かご紹介していますが、

BOPというのは、Base of the Pyramidの略。

世界の人口を所得別に分けたとき、最も低い所得層(年間3000㌦以下)に該当する人たちのことです。


この層をターゲットにしたビジネスが「BOPビジネス」。


一人一人の所得は確かに低いけれど、

世界の7割以上、40億人がこの層にあたるので、

市場規模は5兆ドルにも上ります。


日本のGDPと同じ規模です目


なので、こうした人々の暮らしを向上させる商品を提供し、

かつ、企業としても利益を追求するという、win-winビジネスが実現できれば、


より持続可能な形で貧困を解決できるのではないか、と、

世界中の国々がこのBOPビジネスに挑戦しているのですねニコニコ



しかし、この層に購入してもらうためには、

価格を極力抑えなければなりません。


しかも、安かろう悪かろうではなく、

確実に貧困層の生活の役に立つという優れ物でなくては

絶対ビジネスにとして持続できないのですビックリマーク



その意味では、ものづくりにおいても普通の発想ではダメで、

画期的なイノベーションが必要になるんですねドンッ



実は、日本はJICAを通じて、インドのものづくりにおけるリーダーを育成する

「製造業経営幹部育成プログラム(VLFM)」というプロジェクトを支援していて、


司馬正次筑波大名誉教授の指導のもと、

すでにインドで500人余りのリーダーが育成されてきました。


その卒業生メンバーが、インドの家電メーカー、ゴドレジ社の開発チームで、

「チョット・クール」という簡易冷蔵庫を開発し、


昨年、この商品がアメリカのエジソン賞の社会インパクト部門で金賞を受賞したんです合格


こちらが、その「チョット・クール」ですビックリマーク



一見、クーラーボックスみたいですよねニコニコ


インドはあんなに暑い国なのに、国民の8割が冷蔵庫を使っていません汗


冷蔵庫は最低でも6000ルピ(約1万3200円)もするので、

13億の人口のうち10億人はBOPという国ですから、

実際にはほとんどの人が買いたくても買えないのです・・・。


電気の事情も安定していませんし。

でも、冷蔵できて、新鮮なまま水や野菜、果物を保存できれば、

生活は向上し、病気からも身を守ることができるビックリマーク


そこで、生み出されたのがチョット・クール。


43Lの半導体冷蔵庫で、コンプレッサーも冷媒も使わず、

12Vの直流電圧で5℃~15℃くらいに冷やすことができるんです。


値段は最安値の冷蔵庫の半額、3250ルピ(7150円)!


冷蔵庫のようにキンキンに冷やすのではなく、

必要最低限の温度でちょっと冷やす。


インドのヒンディー語でも、チョット = ちょっと の意味なのだそうです音譜

面白いですねにひひ




実際に購入したお客さんのところに取材に行きました。


すると、この商品がいかに彼らの生活や用途にぴったりマッチした優れ物であるかが

よ~くわかったんですビックリマーク



まず、住宅事情。


だいたいアパートは1K~1DKくらいで、キッチンは3畳くらいでしょうか。


「ここに大きな冷蔵庫を置いたら狭くてしょうがないし、

二人ならこれで十分なのよ。」


と、こちらの老夫婦は話してくれました。



この地域では水道は朝に1時間くらいしか供給されないのでしょぼん

これまでは酌んで溜めておくと、昼には生温かくなってしまっていたけれど、


今はペットボトルに詰めてこの中に入れておけば、

いつでも冷たいまま飲めると、大満足のようでしたラブラブ



また、別のお宅(3人家族)に伺ってみると、

野菜や牛乳、ヨーグルト、ナンのたねなどが入っていました。



これまでは、下のような路上のマーケットに毎日食べきれる分だけ買いに行って、

生ぬるい水をためて冷やしていたけれど、

いまはチョット・クールがあるので買い物は週2~3回で済むようになったそうです音譜

特にインドでも働く女性が増えてきているとのことなので、

負担がかなり軽減されることになりますよねグッド!



電気代は月30~50ルピ(50~70円)くらい。

冷蔵庫より断然省電力です。


半導体冷却ユニットの寿命は10万時間もあるので、メンテナンスはほぼゼロ。


「私たちにとっては、Just Right(=ちょうどいい)製品なの!」

と、奥様が強調していたのが印象的でした。




取材をしていると、アパートの子供たちは外国人が来たと大騒ぎビックリマーク
人の家なんですけど、普通に入って遊んでました音譜
のどかなご近所付き合いが、まだインドにはありますニコニコ




さて、こちらのお客さんは、

「葉タバコ」のお店でチョット・クールを使っていました。


日本ではなじみのない「葉たばこ」ってどんなものかというと、


私もあんまり何を入れてるか分らなかったんですけどあせる

甘いものやスースーするものや、タバコも・・・


とにかく食後のガムみたいな感覚で、その時の客の気分で作ってくれるもので、

いたるところにこの葉タバコ店なるものがインドにはあるのです。


こんな風に包んで、


一口でほおばるビックリマーク


噛み噛みして吐き出しても、呑み込んでもよし。


私はタバコの材料は抜いてもらい、しばらく噛んで出しましたが、

確かにけっこうスッキリしますニコニコ



この葉タバコはやっぱり冷たさが求められるそうで、

これまでは毎日氷を買って、店に運んで冷やしていたそうです。


そりゃ、手間も氷代もかかって大変でしたねあせる


でもチョット・クールなら、それが全部省けるビックリマーク



さらに、パーティーでも葉タバコは必需品らしく、

出張サービスのときにも軽くて持ち運びが簡単なので

ものすごく重宝しているそうですラブラブ



そして、なんてったってお店はこの狭さですから、

観音開きの冷蔵庫は、置けないんですねガーン


その意味でもチョットクールはジャスト・ライトなんだ!とおっしゃってました。




チョット・クールの開発チームは

こうした人々の生活に実際に飛び込んで、何が必要か、何が不必要か、しっかりリサーチし、

そして環境負荷のことまで考え抜いて、この製品を生み出したそうです。


BOPビジネスを考える場合、先進国の発想で開発してもダメなんですね。


彼らにとっては余分などない大事なお金を使うんですから、

実際に生活に役立つものしか買わないのですビックリマーク



欧米に比べると、日本企業にとってはまだこれからの市場ですが、


いかに現地の目線に立てるかが勝負になってきそうです。




そして、便利な生活が当たり前の私にとって目からうろこだったのは、


BOPのお客さんたちが何度も口にした『ジャスト・ライト = ちょうどいい』の考え方。



日本のものづくりは、どんどん機能を追加していくことで

競争に勝ってきました。


それは、消費者である私たちも、それがいいことだと思って求め続けてきた結果でもあります。



でも、気がつくとオーバースペックになりすぎていることってありますよね。

そのために、余分なランニングコストがかかってしまってたり・・・。


考えてみたら、これを世界レベルで新興国、途上国も追及していくと、

エネルギーや資源、環境にものすごい負荷がかかってしまうんですよねあせる



この製品が素晴らしいのは、販売において、

みんなが利用する郵便局や女性起業家を使った独自のルートを確立し、


「ちょうどいい」

「Small is beautiful = 大きいことが必ずしも良いわけではない」


という価値観まで、トークセールスと同時に伝えていることなんですビックリマーク



これって、私たちの生活やものに対する考え方にも

これから必要なポイントだったりしませんかはてなマーク


BOPビジネスで生み出されるイノベーションは、

先進国の製品開発にも新たな価値を生み出すことになるかもしれません。


そんな意味でもWin-Winにしていけるといいですね音譜



次も、BOPビジネスから生み出された目からウロコの事例をご紹介しますチョキ


(つづく)