こんにちは
梅雨入りですね
でも、今日みたいにしとしと静かに降る雨は、なんとなく落ち着いて
潤う感じもあって、けっこう好きです
さて、今日の「伊藤聡子と新潟の経営者」は、新潟市郊外にあるワイナリー
カーブドッチ 欧州ぶどう栽培研究所 代表取締役 掛川千恵子さん。
初の女性ゲストです
私はこのワイナリーとスパがとっても好きで、実家に帰って時間があるときは
ほぼ1日、ここで過ごすこともあります
何と言っても、ワイン畑と美しい庭園が広がる景色が素晴らしく、
一瞬ここはホントに新潟?と思うくらい異国に来たかのような錯覚に陥ります
その非日常的な空間でおいしいフレンチをいただいたり、スパで温泉につかったり、マッサージしてもらったり・・・・ゆったりと、そして優雅に時間が過ぎていくのが、本当に幸せなのです
創業から今年で20年、いまや年間36万人の集客を誇る、有数の田園型観光施設になりましたが、
お話を伺うと、全くのゼロからのスタートで、その発想力、こだわりにはとても驚かされます
そもそも掛川さんは、38歳まで鎌倉で日々を送る専業主婦でした。
ここもびっくりです
子供がまだ小学生だったので、家にいながらできる仕事を・・・と、
当時のパソコン通信を使って東京と結んで、ワープロ入力やアンケートの集計から始まり、
そのうち、鎌倉・湘南に住む高学歴の主婦を集めてコンサルタント会社を立ち上げ、開業のための消費者調査などを引き受けるようになっていったといいます。
今も、出産を機に仕事を辞め、その能力が活かせずに悩んでいる女性は多いですよね。
掛川さんはこうした貴重な労働力と意欲を活用した先駆者であったとも言えます
こうして、100以上のコンサルタント業務をこなした後、
山梨で、「自分でワインをつくりたい」という夢を持つ落希一郎さんと出会ったのです。
私も知らなかったのですが、日本では、共産圏の国などから安いワインを大量購入してビンに詰めるだけ、というワイン業者が実はほとんどだったのですね。
ですから、ブドウから本当に手作りのワインをつくる!という夢に魅せられ、掛川さんだけでなく多くの人が落さんのまわりに集まったそうです。
掛川さんは、コンサルタントとして多くのショッピングセンターなどに関わってきましたが、コンサルトント業務というのは、そこまでで終わり。
何か自分でも作り上げることをしてみたい!と思うようになっていたこともあり、
鎌倉と新潟を行ったり来たりしながら、落さんとの仕事がスタートしたそうです。
ちょうど40歳、不惑の年。
ここから新しい人生を歩んでみたい、という気持ち、
私も経験があるので非常に共感できます。
しかし、実際に話が具体的になってくると、先立つもの、
そう、お金がなかったのです
落さんに集まっていた人は、一人、二人とどんどん離れていき、
結局残ったのは掛川さんひとりでした。
では、どうやってお金を集めたのか
肝心のブドウの木を植えないことには始まりません。
そこで、「Vino Club」という制度を作り、1株1万円でブドウの木のオーナーになってもらい、ワインができたらワインをもらえるということにしたのです。
最初は知り合いに頼んでオーナーになってもらっていたそうですが・・・
結局いくら集まったと思いますか?
な、なんと、1億円も集まっちゃったんです
1990年代初めといえば、ちょうど日本にもワインブームが到来したとき。
ブドウからつくる100%本物のワインを日本で!という夢に賭けてみたいワイン好きの人が
こんなにもたくさんいらっしゃったということですね
たくさんの人が、楽しみに自分のブドウの木の成長を見に来たといいます。
とはいえ、収穫してワインができるまでは収入はないわけです
そこで、なんとか日銭を稼ぐために、パン工房やレストランを開業。
それがまた美味しくて、異国の雰囲気とその味を楽しみにやってくるお客さんも増えていったのです。
建物やインテリアも、掛川さんが女性ならではの視点で徹底的にこだわっていて、
私を含め、女性はワクワク感を刺激されてしまうのです。
本当に上手だなぁ~と思います。
カーブドッチの経営にあたって、開業当時から固く守っていること。
それは、出資してくれた、加島屋(海産物製造)と八海山(清酒)の社長のお二人からの言葉でした。
① 良いものをつくれ
② たくさん作るな
③ 高く(適正価格で)売れ
この3点だそうです。
確かに、カーブドッチは、新潟の感覚からしたら、少し高いかもしれません。
でも、この非日常の夢の空間を維持するためには必要な値段設定ですし、
その期待を絶対に裏切らないという信頼感があるから、
全国から多くの人が訪れるのだと思います。
デフレが続く中で、どうしても多くの顧客を獲得しようと安さに傾きがちな昨今ですが、
「カーブドッチとは何か」ということにブレがなければ、固定客はしっかりついてくるのでしょう。
ブランディングがいかに大切かということを教えられます。
さて、このカーブドッチのまわりには、新たに3つのワイナリーが出来ています。
落さんのお弟子さんたちです。
新潟がカリフォルニアのナパバレーのように、
世界から大人が集まる一大ワイン産地になる日が来るかもしれません
皆さんも一度訪れて、ワインを飲みながら大人の時間を楽しんでみてください
掛川さんのお話は、女性の人生、地域からのブランディング、夢を次世代につなげていくことの大切さ、などなど、とても興味深いです。
是非お聞きくださいね