おはようございます音譜


今日と来週土曜日の「伊藤聡子と新潟の経営者」


株式会社アクデザインアマノ 代表取締役 天野 尚 さんです。



天野さんは自然をテーマにした写真家としてもとても有名で、数々の賞を受賞されています。

そして、アクアリウムの製造・関連製品の販売を行うアクアデザインアマノは、

日本だけでなく世界からも注目を集め、ファンがたくさんいるのです。


長澤まさみさん、山田孝之さん出演の映画「そのときは彼によろしく」で、主人公が経営するアクアプランツ店の水槽を手掛けたのもアクアデザインアマノ。

監督の平川雄一朗さんが、天野さんの大ファンだったからなんですニコニコ


最新のお仕事は、あの東京スカイツリーの大水槽。

なんと7mもあるのだそうで、一体どんなアクアリウムになるのかと、またまた世界中のファンが心待ちにしているのですドキドキ



私も、新潟市西蒲区にある本社ギャラリーに行って、実際に天野さんが手がけたアクアリウムを見てきました。

なぜ天野さんの作品が、国境を越えて人々を魅了するるのか、わかるような気がしましたアップ


スマホ写真で申し訳ないのですが、ちょっとご紹介します。



ご覧のように、水槽という小さな箱の中に、雄大な自然がぎゅーっと凝縮されています。

小さい、けれど、大きい・・・・そんな不思議な世界なのです。

ずっと見ていると、この中に自分が入り込んでいるような気持ちになって、
とても幸せになりますドキドキ


荒々しい岩山の岩肌に柔らかい草が覆っている風景。
私はこういう景色が大好きです。

その間をゆったりと泳ぐ魚たちは、まるで鳥のようにも見えます。


こうした「ネイチャーアクアリウム」は、自然環境と同じ道筋をたどって創られるのだそうです。


土壌から草・森ができて、微生物が住みむことによって自然の循環システムができ、魚たちがいきいきと暮らす小宇宙が

その絶妙なバランスで成り立っていくというわけです。



今までの水槽は、飼い主である人間サイドの外からの価値観で作られてきたような気がするのですが、
こんなにも自然・生き物主体で、水槽の中の世界を創造することができているのは、天野さん自身の自然への並々ならぬ愛があるからなんですね。

天野さんの経歴はとても変わっています。
もともとは競輪の選手、その後写真家になり、アクアリウムの経営者へ。

競輪?写真?水槽?一体どんな関係が???と聞いてみると、
実は全てがつながっているのですビックリマーク


まず、天野さんは小さい頃から水草が大好きで、自転車に乗っていろんなところに行っては草を採取して、自分で水槽を作って育てたりしていたそうです。

自分の好きなものを見るためには、どんな場所でも自転車で行ったそうで、
中学生の時に、アマゾンの魚展が東京にやってきたというので、電車賃がないから自転車で一人で新潟から東京まで行ってしまったというエピソードがショック!

そうするうちに、自然を撮影することに興味がわいてきます。
しかし、カメラを買うお金がないあせる

そこで、普段足代わりに乗りこなしていた自転車で稼いでみるか・・・と、
訓練もせず競輪の選手のテストを受けたら、
なんと1200人の受験者中7位で合格!!
冒険でいかに足腰が鍛えられていたか、ということですねにひひ



競輪選手として活躍しながら、大判カメラで自然を撮る写真家としても活動を始めます。

アマゾンに行ったり、ボルネオに行ったり・・・自然を求めて世界中を旅した天野さん。
手つかずのジャングルに行くときでさえ、重たい大判カメラを持って行って撮影したのには理由がありました。

天野さんの撮りたいものは、一部を切り取ったものではない、
自然の全体の姿だったからです。

一枚の写真の中に、様々な植物が存在して、様々な生き物が存在する
「調和の美」。

その世界を、アクアリウムでも表現するようになっていったのです。

ですから、少年の時の水草が好きというスタート地点に、いろんな経験が肉付けされて、戻ってきて成功しているのが今の天野さんなんですね。

お話を聞いていると、人生って本当に面白いし、
全てのことはつながっているんだなぁ・・・と感慨深いものがありますクローバー



もちろん、この素晴らしいネイチャーアクアリウムにたどり着くまでには様々な失敗、苦労もありました。

なぜ、こんなにもキレイな緑の水草が生き生きと育ち、水がまるで入ってないかのように透明なの?と、
見た瞬間に誰もが不思議に思うでしょう。


天野さんは試行錯誤を重ねて、水槽の中の「自然」を創り出すための、ものすごい発明にたどりつくのです。

その一つがこちらダウン

シュワシュワ~と細かい泡が出てますね。

これ、酸素かと思ったら、二酸化炭素なんだそうです。


そうなんです。

考えてみたら植物は二酸化炭素をを吸って、光合成をして、酸素を出すのですよね。

植物にとって二酸化炭素は命なんです。

なのに、これまでブクブクと酸素を入れてきたから、水草がどんよりと元気がなくなってしまったんですね。


自然を追いかけて、植物に対してあたたかい目線で向き合ってきた天野さんだからこそ、その原理に行きついたのだと思います。



そんな天野さんに、思わず、今の地球環境に対しての見解をお聞きしてみました。


すると、真剣なまなざしで

「CO2による温暖化については、もう、「削減」という考え方では間に合わない・・・」

とおっしゃいました。


「二酸化炭素を吸収して酸素を増やすしかない、そのためには木を植えるしかないんです。

削減に頭を使って取引するなんて愚の骨頂。

それよりも、排出に応じて樹を植える義務を負わせることの方が、実質的な効果があるのです。」


この言葉どおり、アクアデザインアマノの社屋は木に囲まれています。

私は、もともとあった森を切り開いて建てたのかと思ったら、そうではなく、

何もないところに、手間とお金をかけて植えて森を創ったのだそうです。


CO2の対策で、こんなに納得できる話はなかったのではないでしょうか?

あまりにもあたりまえのことなのに、人間の論理で考えているからその原理に思いが至らないのです。


天野さんが提供するネイチャーアクアリウムの世界は、

このように自然と調和して生きることが、人間も生き生きと幸せに暮らせるというあたりまえのことを、

私たちに思い起こさせる重要な役割を果たしてくれていると実感しました。



今回は経営者としての話はもちろん、生き方としても興味深くとても考えさせられます。

是非生の声をお聞きください音譜


(放送後はポッドキャスト でもお聞きいただけます)