今日と来週の土曜日の「伊藤聡子と新潟の経営者」は、

総合建設コンサルタント 株式会社キタック 代表取締役社長 中山 輝也さんです。





収録した日にも少し書きましたが、新潟というのは、地滑り多発地帯でもあり、大きな水害、地震を何度も経験している、地質的には非常に厳しい土地柄です。


そうした中で、地元新潟の地質に精通した「専門家」としてのキタックの信頼は、建築における地質調査において絶大なものがあり、現在7か所の営業所、従業員120人を超える企業に成長しました。


中山さんは、大学卒業後に東京の民間コンサルタント会社に1年勤めた後、新潟県庁で土木の仕事に携わりました。

昭和40年代、列島改造の中、新潟でも多くの公共事業が行われたのですが、当時は建設コンサルタント会社というのは地方にはなく、全て中央のコンサルタント会社が仕事を取っているような状態だったそうです。

中山さんは「地域の地質は地域が一番よく知っているし、税金が地域に落ちないのもおかしい」と感じ、昭和48年に県庁を辞め、一念発起して新潟初の建設コンサルタント会社を創業したのです。


お話をしていても、とても寡黙な技術系の方で、あまり今までお会いした経営者にはいないタイプと感じました。が、裏を返せば、大きな工事を行う大前提の地質調査をお任せするにあたっては、饒舌に話される方より「この人の言うことは信頼できる」「この人には安心して任せられる」という雰囲気が漂う方なんですね。

それも大事な経営者としての資質だなぁ~と感じさせられましたニコニコ



さて、東日本大震災以降、私だけでなく多くの人が地質についての関心が高まっている中、まずは中山さんにプロとして、「地盤」というものの根本的な基礎知識から教えていただきました。

その中でも、単純なようですが、やはり地名は非常に大切な情報であること、例えば「谷」とか「津」などの字がつくところは要注意。逆に「山」などの地名は強いとか・・・。

また、よく建築の際に「活断層を避けて・・・」というけれど、中山さんがおっしゃるには「活断層はどこにでもある」とのこと。地震が起きてみて「あ、ここも活断層だったんだ・・」ということは普通のことなのだそうで、活断層マップというのも、あくまで「今はっきりとわかっているものだけ」なんですね。

う~ん・・・我が家の真下も可能性はあるわけですね汗


そして、「災害は忘れたころにやってくるというのは、コレは本当です。」

寡黙な中山さんが真剣なまなざしでおっしゃったのは、非常に説得力がありました。

自然・地球と対話をしながら仕事をしてきた中山さんをもってしても災害の予測は難しく、何度も「大丈夫だろう」という気持ちに喝!を入れられてきたのでしょう。

プロの中山さんでさえそうなのですから、私たちはもっと謙虚になるべきですね・・・。


最後に・・・

中山さんの座右の銘は「知足」。


「私は、何か大きなことをしてやろうとか、自分は力があるとか、もっとできるだなんて、思ったことはありません。自分のことをよく知っているんです。

だから、せっかく地質調査をして設計なども手掛けるなら、建築も・・・と言われますし、実際そうしている会社はいっぱいあります。でも、わたしの領分は地質・設計まで!他の部分は他のプロがやったらいいんです。仕事を奪うこともしたくないですしね。(笑)」


かなり早い段階から中国においても技術協力をしているのですが、それについても、特に、将来のビジネスに持って行けたら・・とも思っていないと言い切ります。

その時に、中国の人に良かったと思ってもらえて、役に立てれば別にそれでいいのだといいます。

なんという野心のなさ・・・。

でも、きっとそこが、キタックの成長の秘密なのだと感じたのでした。


是非お聞きください!(後日ポッドキャストでもお聞きいただけます)