こんにちは
昨年末から気になっていたのが、イランの核開発へのアメリカの経済制裁です。
イランからの原油の輸入の禁止を打ち出し、これに呼応して、先日EUもイランからの輸入をボイコットすることを決めました。
もちろん、イランも黙ってはいません。タンカーの航行するホルムズ海峡を封鎖する!と反発しています。
これにより、昨年から原油価格が上がってきておりました。
昨日の時点では1バレル110.5ドル。昨年末比で3%の上昇です。
そして、今日、協力を求めるためアジアをまわっていたアメリカのガイトナー財務長官が、日本にやってきました。
もちろん、日本にイランからの原油の輸入を削減するように求めるためで、日本はこれに応えざるを得ないでしょう。
う~ん・・・なかなか厳しい状況ですね
石油に関しては、日本はほとんどを中東に依存しています。この構造はずーっと変わっていません。
輸入の割合を国別にみると、サウジアラビア約30%、UAEが20%、カタールが11%、そして、問題のイランが約10%です。
逆にイランにとっても、日本は大事なお得意様。輸出先の割合は中国の22%に次ぎ、14%で第2位なのです。(EU連合にすると、EUの方が多くなります)
日本に先立ってガイトナー長官は中国にも協力を求めましたが、中国は拒否しています。
なので、イランにダメージを与えるという意味では、日本への輸入減プレッシャーは大きくなるのではないかと思います
この事態をにらんで、日本もこの1割分を補うために、サウジアラビアへの増産のお願いもしてきていて、サウジも増産体制に入ることが決定してはいるのですが、(このため今日の原油価格は反落している模様)
なんといっても、日本に来る原油の8割のタンカーがホルムズ海峡を通過してきている状況なので、ここが封鎖されてしまうと、いくらサウジで増産しても持ってこれないんじゃないの?という疑問が浮かびます。
こうなったときのために、以前からホルムズ海峡を迂回してUAEから原油を運ぶ迂回用のパイプラインの建設が進められてはいたようです。
しかし、今年1月には完成の予定だったのに、建設コストがかかることなど様々な理由でまだ完了しておらず、4月まで準備が整わない状況。さらに、この建設を請け負っているのが中国の建設会社というのも、う~ん・・・どういうことなのかな・・・とも思ってしまいます。
サウジからの原油を、反対の紅海側から持ってくるというルートもあるようですが、それが現実的なのかどうなのか・・・。これまで日本であまりこの方法が取られていないということは、まだ整っていない部分もあるのだと考えられます。輸送費もかかりそうですしね・・・
一方中国は、今後を見越してこの紅海側の港に、サウジと共同で日量40万バレル製油所を建設する契約に、今週中にも調印する予定だそうです。
さらに、他の産油国との関係強化のために温家宝主席が今日から湾岸諸国を歴訪します。
中国は石油確保に向けて着々と地盤を固めていますね。
さあ、こ日本は果たしてどのような道を模索すればよいのでしょうか?
考えてみれば、オイルショック以来、日本はこうした不安定な中東へのエネルギー全面依存から脱却するべく、原子力発電を始めとしたベストミックス体制を敷いてきたわけですが、現在は火力発電の依存が再び高まってしまっている状況です。
このままでは、さらなる電気料金の値上げは避けられないでしょうし、日本の産業に与える影響もはかりしれません。
もちろん、様々なものが値上がりするので家計への影響も覚悟しなくてはなりませんよね。
とにかく早く代替エネルギーの開発と分散を進めなくてはならないのですが、安定供給に至るにはまだ時間がかかりそうです。
イランをめぐる情勢は日本を直撃する話ですので、
私たち消費者も広い視野に立ってエネルギーの問題を考えながら、この事態を注視していかないといけないですね。
本当にあらゆることが、まったなしの日本です・・・