タイの大洪水で、日本を代表する製造業の工場が

大ダメージを受けています。


タイだけではなくベトナム・カンボジアなど

日本企業が進出している、あるいは円高・エネルギー問題などで

これから移転を検討している国々が

軒並み洪水の被害にあっています。


もともと雨季のある地帯ですが、このように壊滅状態になることは

どの企業にとっても全くの「想定外」だったことでしょう。

「想定外」という言葉を、秋にまた使うことになるとは・・・しょぼん

安い労働力を求め、為替リスクを回避して

新興国・途上国に進出する際にリスクというのは

こういうところにあるのですね。


進出に際して、その国の広範囲な防災インフラまで

民間企業が万全に整えるということはできません。

そこまでのコストを計算すると、進出メリットはなくなってしまいます。

ODAなどによって、日本政府は

東南アジアのインフラ整備にかなり協力してきたはずですが、

このところの気候の激しさは、

先進国である日本国内でさえ対応ができていないのですから、

より強固な防災が必要とされるモンスーン地帯の東南アジアに

対応しきれるはずがありません。


となると、海外進出にも大きな壁が立ちはだかります。 

世界のどこでもいいわけではありません。

距離・人件費・労働力の質、政情・・・・

様々な条件が整わないといけないのですから。

そういう意味ではタイやベトナム・カンボジアといった国々は

とても良かったのでしょうけれど・・・。


おそらく今日本の企業は、どこに生産拠点を移すか、

一生懸命考えていると思います。

早く手を打たないと、業績悪化によって

国内の雇用削減などに踏み切らざるを得ない状況だと思います。


ただ、そこでまた心配になるのが

日本企業が去った工業地帯のその後ですあせる


これは、海外移転によって

国内の工場があった地域がどうなっているかを見ると、

本当に大変だということがよくわかります。

潤っていた時を知っているだけに

人がいなくなってゴーストタウンのように静まり返った街は

もう生き返ることができないのではないかと思うくらい

大きなダメージがあります。


そうなると、初めはそんな意図はなくとも、

安く働いてくれるまじめな人たちを利用して、

企業の都合次第で振りまわして終わる・・・という形に、

結果としてはなってしまうのではないでしょうか。


こんなことを考えると

今、やむを得ず日本企業が模索しようとしている海外進出というのにも、

課題がたくさんあると感じます。


世界各地で広がるデモが物語るように、

実際に現場で働く人たちを「コスト」と考えて、

簡単に増やしたり切ったりする考え方そのものを

もう一度見つめなおすことを、

この大洪水も物語っているような気にさせられるのは

私だけでしょうか?