正月間近になると、調査依頼も一旦は息を潜め

探偵たちも束の間の休息へ入る。


故郷へ帰る者、東京で過ごすもの、国内、海外旅行へでかけるもの・・。


わたしは恒例の行事としてアメ横へいく。

あのアメ横の、年の瀬独特のすさまじい喧噪のに揉まれると

なんだか無事一年を終えれるような気がする。


他の探偵たちは、今頃何を思って

過ごしているのだろうか。


普段他人の内事情に首ばっかつっこんでいるからだろうか

探偵たちは互いに干渉し合わない。


彼らは何を思い探偵を続けているのだろうか。


家庭。

きちんと家庭を持っている探偵は一般と比較して少ない。

生活。

彼らは生活から一体どのような楽しみを見出しているのだろう。

探偵という職業に、彼らの生活を意味づけるほどの力があるのだろうか。


アメ横の喧噪に揉まれながら

人々の顔を見る。


皆、生活をしている。

束の間の群衆に、安堵を覚える年の瀬だった。
浮気・不倫の調査をした際に得られた証拠のうち、

動画の証拠データは、そのまま依頼人にお渡しするにはちょっと長すぎる上に、

肝心の決定的瞬間がほんの2秒とかの場合

うちの事務所の方で証拠を編集してしまうことがある。


もちろん、生データとして未編集の証拠も別にお渡しするのだが

報告書をお渡しする際に、その場で見ていただく用の動画として

新たに編集をする。


初めて編集作業をした頃は、決定的瞬間のみを切り出して

その部分だけをお見せしていたのだが、

それではなんか臨場感がないということで

その決定的瞬間に至る重要な展開のポイントをちょこちょこ切り取って

つぎはぎをする作業を重ねるうちに

最近ではやたらとドラマ仕立ての動画にしてしまう傾向にある。


全然笑い事ではないのだが

「アットホームパパの淫美な日曜日」や

「やり手実業家の超絶愛人6人物語」、「DV男が初めて貢いだ女王様」

のようなタイトルをつけたくなるような一本立てのドラマ動画ができてしまう。


展開をドラマティックに切り取って作られた動画を見た依頼人は

まるで自分がドラマの中の当事者のような気分になるのだろうか、うっとりと動画に見入る。


これがものをつくる喜びか!なんて思いながら

やりすぎないように注意しながら

今でも編集作業を秘かな楽しみにしているのです。



今日はジンギスカンを食べてきました。

よく行くお店で、ホントにおいしいんです。


この店を知ったきっかけは

じつは尾行叫び

とある不倫調査中にターゲットが浮気相手と食事をするために

入ったお店だったんです。

会話内容もできれば知りたい、との依頼人の意向をくみ取って

お店に入って、近くの席に座って観察&録音を開始しながら

飯をくったんですが、これが超うまい。


さっそくプライベートでも通い始めた次第なんですが、

こういう風に、調査中に入った店で

すごく気に入ったお店達は

自分のお気に入りとして普段でも通ってるんです。

ドラマなどで見られる尾行と

実際に探偵が行っている尾行はだいぶ違う。


まず一人で尾行する、というのは

簡単な案件か、人手が足りないか、まじめにやっていないか、

でなければあまり考えられない。

(大手探偵社だと3人ひと組で張り込みや尾行を行うことが多いようです)

うちの事務所が尾行を行う場合は最低でも2人、張り込みが難しい場所だと6人で張り込んだこともある。


次に、ドラマで見られる程近づいて尾行はしない。

だってあれは・・感づかれるよ。

実際には、かなりの距離を取って尾行する。

感づかれて尾行に失敗するくらいなら

見失って、また次の日いちからやるほうがいい。


うちの事務所の場合、尾行する探偵3人のうち一人は

接近して尾行する。

残りは適度に距離をとって尾行する。残り二人でカップルを演出してもいい。

接近して尾行する探偵はころ合いを見計らって

ターゲットを追い越さして、ターゲットの前を歩かせたりする。


これは人の心理の不思議なところだが

後ろを歩いている人に対しては注意を払うのに

前を歩いている人に対して、人はほとんど注意を払わない。


今まで後ろにくっついて、ついてきてた人が

自分を追い越して、自分の前を歩きだしたことで

ターゲットは安堵し、尾行されているという心配をしなくなる。


家を突き止めることが目的だった場合

3人いる一人が最終までターゲットについていけば

簡単に結果がわかるので、最後の一人を残して

他の探偵は途中で離脱してもかまわない。



とまぁ、こまごまとしたことを書きだしたらキリがないですが、

今日一番伝えたかったトコロは、

自分の前を歩いているからといって

その人が尾行者でないとは限らない、ということです!








「ネット上から現実の世界にターゲットをおびきだしてくれ」

というネット工作の依頼がたまに入る。


奥さんや子供を残していきなり家に帰らなくなったり

何か物を盗む等悪さをして逃げたり

貢ぐだけ貢がせて逃げたり・・・


様々な理由で現実に行方をくらましているが

ネット上では居場所がわかる様な場合に

どうにかして現実におびき出してほしい

というタイプのネット工作の依頼だが、

一番依頼の多いターゲットの属性は

借金をして逃げた人。


このタイプの依頼は成功報酬で受けており

さらに借金をして逃げた人がターゲットの場合

借金額に応じてパーセンテージで報酬を決めている。

なので、高額借金ターゲットの場合

ネット工作をする探偵側にも熱が入る。


以前2000万ほどの借金を抱えたままトンだターゲットを

おびきだしてほしいという依頼があり、

その際は借金額の15パーセントバックという契約だった。

つまり、ネット上からターゲットをおびき寄せるだけで300万だ。


このときは皆燃えた。

私を含めて計3人の探偵で取りかかり、

2か月計画のシナリオをたて、じっくりとターゲットをおびきよせた。


あまり具体的なことは書けないが

シナリオの大筋をいうと、まず、小さなウェブページの小さな掲示板にしか

書き込みを行っていなかったターゲットを3週間かけて

ウェブ上の大きなコミュニティーに誘い出し、

そこからさらに5週間かけて現実に会うアポをとり、捕獲するという計画だった。

探偵3人で合計21人分のウェブ上の人格(ID)を操り、

ネット上でのターゲットの持つ人間関係のほとんどが、私たちが操っていた架空の

人物だった。


実際には、1週間たらずでコミュニティーに誘い出すことに成功し

そこから2週間でアポをとるに至り、某繁華街の駅で

待ち合わせ場所付近に隠れていた依頼人(債権者)とわたしで

待ち合わせ場所に現れたターゲットを捕獲した。



捕まった瞬間のターゲットは

われわれ(依頼人と私)にベルトをつかまれたとき、

ハハッとあきれたように笑った。


他のターゲットにも言えることだが

ネット工作で捕獲されたターゲットは

大体おなじように、捕まった瞬間、呆れたように笑う。


まぁ、確かに笑うしかない。