格安SIMを導入する上で気になるのはデータ通信の品質だと思います。当然商品としてあるのだから、安くても使えるものであるはずとだれもが思います。でも事実は違います。
第一回でも説明しましたが、MVNOのサービスは、大手通信キャリアなどから回線をまとめ借りし、その範囲内でどれだけのユーザーにどの程度の容量と速度で通信させるかを調整することで成り立っているからです。
例えば高層ビルのエレベーターを想像してみましょう。エレベーター整備やカゴ内の清掃を怠らず、乗客一人ひとりが満足できるようにエレベーターの状態を保たなければならないのが大手通信キャリアです。
そのエレベーターだけを貸してもらって実際に乗客を運ぶ事しか考えていないのがMVNOだと思ってください。
定員20名のところに10人しか乗せなければゆったりとした移動を楽しめますが20人を乗せれば、ぎっちりとした感じになり30人を乗せれば、
大変な状態になることは目に見えています。同じ30人でも体の小さい子ども(データ通信量の少ないユーザー)30人なら、あまり問題ないかもしれません。
MVNOは、どのサイズのエレベーターを借りればよいか、時間帯ごとに同時に乗せられる人数と総体重を綿密に計算し、通信の快適さと利益の最大化のバランスを取っています。
よって、MVNO側のさじ加減ひとつで、乗客の満足度は変わってくることになります。このさじ加減がミソです。
この例をデータ通信にそのまま当てはめることはできませんが、だいたい似たようなものだと考えておいてください。
要は、大手通信キャリアに使わせてもらっている回線の幅あたりに収容する格安SIMユーザーの人数次第で通信速度が変わってくる、ということなのです。
しかし、この通信品質の問題も繋がっていればの話です。そもそも電波すら来ないなどの問題もありますし、アンテナピクト問題、セルスタンバイ問題もあります。次回はその問題について説明します。