現代政治史に関する著作を数多く執筆している著者が、現代政治学の観点から戦国武将の行動を分析するというコンセプトの一冊。


歴史学以外の目で歴史を見るというのは、思考ゲームとして大変面白いことで、この本も読んでいてかなり面白い。


とくに、戦国武将の行動パターンや考え方を現代の政治家(田中角栄・竹下登・小泉純一郎・小沢一郎etc)と比較することで論じるという方法は新鮮味があり、よりリアルに戦国武将たちへの想像力をかきたてられる。



難しい史料が出てきたり、一つの事実についてうだうだ書いているわけでもないので、脳のクールダウンとして軽い気持ちで読んでみてはいかがだろうか。

評価:★★☆☆☆


メイド喫茶のメイドが誘拐されて、身代金一億円が要求されるという突拍子も無い事件を扱った西村京太郎の代表作十津川警部シリーズの一作。

何を隠そう、西村京太郎はこれが初読である。

タイトルを見た時は正直、西村京太郎が壊れた、と思った。


しかしまあ、始まってすぐに身代金の受け渡しで山形新幹線で天童まで行ってしまうあたりニヤニヤせずには居られないわけで。


今回は時刻表云々とか、推理がどうのこうのとか言うよりも、誘拐犯を追いかける十津川警部と『城萌え三銃士』なるオタクどもとの追いかけっこが主で、推理モノとしては期待はずれ。しかし、内田康夫なんかもそうだが大当たりしなくても外れない感じが、こういうミステリーの魅力かもしれない。読むのに体力要らないし。


「ブルートレインが流行っていたから、ブルートレインで書いた」


時刻表ミステリーを書き始めたきっかけをこう語る西村氏だけに、これからも流行りものには敏感に反応していくのかもしれない。


次はアメリカ初の黒人大統領がイランの秘密組織に拉致される「十津川警部ペルシャに消える」とか…。

評価:★★★☆☆


米澤穂信氏の小市民シリーズ第三弾。シリーズ初の上下巻組。

相変わらず、どこかずれてる小鳩君と何か間違ってる小佐内さんの日常の謎系ミステリーである。


前回のオチからすれば、今回のオチはある程度予想の範疇だ。まあ、それを期待して読み始めた面も無いといえば嘘になるが。


ミステリーとしてみると、こういっちゃ失礼だがまあこんなもんだろう。


さとい読者なら、上巻の段階である程度の真相は予想できるとおもう。「推理」ではなく「予想」なのが、小鳩君と違って俺が小市民な証といったところか。


とりあえず。連作短編ではないが、大筋とは別の謎解きもちりばめられているから、『日常の謎』によくある連作短編形式のテイストも残している。そっち方面の期待を抱いていただいてもまったく問題ない。



満点ではないが及第点。小市民的なミステリー、といったらさすがの小鳩君も怒るだろうか…?

『サッカーは戦術でするものでは無い』とはよく言われるが、しかし戦術には本当に意味が無いのだろうか?

ヨーロッパのサッカーを取材し続けた著者が、大番狂わせを演じたチームの戦術を見ながら、監督によってチームはどこまで変わるのかを探っていく。


戦術というと、あるチームにスポットを当ててどういう狙いなのかを解説した特集などが、雑誌などで組まれている。しかし、この本はどちらかというとチームより監督というものにスポットを当てている。

戦術やシステムというものは、監督によって大きく変わる。そしてそれを決めるには、監督自身にそのシステムを採用する根拠となる考え方がある。そういう面からサッカーを見てみようというのである。


読んでみるとこれが実に面白い。名称と呼ばれる監督が何故そう呼ばれるのか、彼らへのインタビューを元に実にわかりやすく書かれている。そして、この本を読み終わった後、サッカーを見る目が変わっている自分に気付くのである。



『一緒に読めば面白さ倍増』

GIANT KILLING(綱木将也原作 ツジトモ作画/モーニングKC)

監督を主人公に据えた、異色のサッカー漫画。

監督一つでチームはここまで変わるのか?という疑問を抱く人も居るかもしれないが『4-2-3-1』を読んでから読むと『なるほど監督はでかい』と納得がいくだろう。

フタバスズキリュウをご存知の方は多いだろう。ドラえもんの映画第一弾『のび太と恐竜』にも登場し、日本における代表的な中生代爬虫類として知られる首長竜である。

では、このフタバスズキリュウが新種の首長竜『フタバサウルス・スズキィ』として論文に記載されたのは何年かご存知であろうか?

実は、つい二年前の2006年のことである。実に発見から三十八年後のことであった。


化石研究は発見されただけでは終わらない。華やかな第一報の後には、研究者・技師・自治体などその化石をめぐって多くの人々が関わっていく。

そんな人々にスポットを当てて、日本で見付かった化石たちのたどった数奇な運命を、新聞記者である著者が追ったのが本書である。


恐竜の本というと、どうしてもその姿形や生態の研究書に目が行きがちだが、そういった本が書かれるまでの研究の流れや、化石をめぐる周辺環境への問題提起など、これまでの恐竜本にはなかった新たな切り口が新鮮で、読み物として非常に面白い。


「あなたがそこ(恐竜化石の前)に足を運ぶことで、恐竜たちは再び生きるのである」

巻末に記されたこの言葉の意味を、是非一読して感じてもらいたい。