今まで読んでくれた方には大変申し訳ないと思いますがしばらくブログを休止したいと思います。
理由は自分の未熟さに腹がたったのです。
書きたいけど書けないスランプ状態にもなってしまい…。
休止、ということにしました。
休止というか放置、といった方が正しいかも。
書いてる小説はこのままで、また整理がついたら更新します。
それがいつなのかはまったく分からないけれど…でも次更新した際にまた今まで通り見てもらえたら嬉しいです。
ではまたお会いできたら…さようなら。
今まで読んでくれた方には大変申し訳ないと思いますがしばらくブログを休止したいと思います。
理由は自分の未熟さに腹がたったのです。
書きたいけど書けないスランプ状態にもなってしまい…。
休止、ということにしました。
休止というか放置、といった方が正しいかも。
書いてる小説はこのままで、また整理がついたら更新します。
それがいつなのかはまったく分からないけれど…でも次更新した際にまた今まで通り見てもらえたら嬉しいです。
ではまたお会いできたら…さようなら。
そのあと先生に襲われることなく無事に家に帰った私はお風呂に入り、まったりと部屋で過ごしていた。
お風呂からあがって寝る前までのこの時間が私は好きだ。
ごろごろしたり、雑誌読んだり……先生とメールしたり?
「きゃあぁぁ」
一人で勝手に興奮してベットでじたばたする。
不安になったり、喧嘩したりしたけど結果オーライだよね。
あとは、翔やいっちゃんに話をつけたら絶対幸せな日々が待ってる!
美來ちゃんのことはよくわからないし、保留としても。
幸せな日々を夢見て、ぼんやりしていると横に置いてある携帯が振動した。
ディスプレイは……先生!
「わーい、来た来た。でもちょっと恥ずかしいかな」
さっきあんなことしたからやっぱし恥ずいよ。
躊躇している私の手の中で震える携帯。
あ、電話かと私は慌てて通話ボタンを押した。
メールかと思ったのだ。
電話だったらすぐ切れちゃうじゃん。
『おー、勉強してるか?』
第一声はそれだった。
がくりと肩を落とし私は笑った。
『してるわけないじゃん。数学大っきらいだもん』
少し意地悪を言い、体を起こす。
ふわりとシャンプーのにおいがした。
『俺も泣き虫嫌い』
まけじと言い返す先生に私は少しふくれる。
そこは、好きになれるように努力しろとかじゃないの?
『泣き虫は余計ですぅ!』
べーっと舌を突き出し、言ってやる。
もちろん、電話だからこそできる仕草だ。
実際にやったらたぶん……襲われるな、うん。
『そっかぁ、親か。結婚するなら会いに行かないとなぁ』
その言葉でココアを飲んでた私は吹き出しそうになった。
慌てて口をぬぐい、あわあわと口を動かす。
『け、結婚て何考えてんのさ!?』
『そのまんま。里桜は嫌なの? 結婚』
そう言われましても……と私は思案する。
いきなり結婚って言われても、ねぇ。
『嫌じゃないけど……でも私は―――』
その先はとてもとても大事なこと。
さっきはあの二人に話をつければ幸せな日々が待ってるって言ったけど、結婚となれば少し高い壁が待ってる。
『私は、なんだよ?』
なかなか言わない私に先生から不服そうな声が返ってくる。
『親が決めた結婚相手がいるの』
ようやく言えた言葉。
決めたというより、親がとても気に入ってる男の子がいて将来は結婚させる気満々なのだ。
相手もまんざらじゃないようだから、私が否定しまくって今まで流れてきたけど―――。
『ぶはっ!』
一拍置いて先生からは吹き出した声が。
そして爆笑しだした先生。
今の笑うとこじゃなーい!
必死に言ったのに、この人は……。
『もういい、寝る! また明日ね、バイバイ!』
それ以上詮索されたくない思いと、笑われたことにちょっとムカついた思いで私は強引に電話を切った。
しばらく待ってみるがメールも何もこない。
もしかして怒らした?って思ったけど私はそれを振り払った。
仕方がないから。
「お母さーん、朔くんって今何してる?」
ココアが入ったマグカップを持ち下に降りていく。
台所にいたお母さんに声をかけるとお母さんは顔を輝かした。
「ようやくその気になってくれたのね? 朔くんは今ね―――」
「ちょっと! まだその気になったとは言ってない!」
私は遮り、作業中の母の手をひっぱりリビングに連れて行った。
「なぁによ、改まっちゃって」
見た目が若く見える母は甘えた声を出してそういった。
この人、自分が40代だって自覚あんのかな?
「私ね、朔くんとは結婚できない。だからお断りを」
「だめよ」
今度は母が遮り、そういった。
意外に手ごわいかも。
「だって、なんで付き合いもない人と結婚しなきゃいけないの? 確かにいい人だとは思うけど」
朔くんとは2,3回しか会ったことないし、それは親が気に入ってるだけじゃない。
いい人だったら誰でもいいわけじゃない。
「何あなた、結婚したい相手いるの?」
「な、ちが!」
否定したけど無駄だった。
顔が真っ先に反応していた。
「いるのね、誰なの? 同い年? 年上?」
矢継ぎ早に質問する母の、年上、という言葉に私は反応してしまった。
ああ、どうして私ってこんなにも顔に表れるんだろう……。
「~そうだよ! 相手は先生! 悪い!?」
結局開き直ってそう言った。
どうせ後にも知られるんだから今言っても一緒だ。
「せ、先生ですって?! 余計だめだわ!」
声を張り上げるお母さんに私は少し身を引いた。
どうして先生じゃだめなの?
このとき、私は覚悟した。
お母さんの意思を変えるのは、翔たちにすべてを伝えるのは長期戦になりそうだと―――。
トイレから戻った私は赤い目を見られないように俯き席についていた。
もちろんそんな変化、先生が気づかないわけもなく。
案の定、次の休み時間屋上に呼ばれた。
「何?」
「お前、どしたの? 今日なんか変だぞ」
どしたのって、自分がよく分かってるくせに。
でもこういう優しさは、自分には弱い。
「へ、変かな? 別に普通でしょ」
あははっと笑った私を疑いの目で見つめる先生。
「大橋のこと?」
その言葉で私の表情は一気に固まった。
なんでもお見通しな気がして私は少し怖くなった。
自分の心の弱さまで見られちゃいそうで。
「はぁー……大橋は別にただの生徒だろ?」
「……私だって、ついこの前まではただの生徒だったよ!」
声を張り上げる私。
私だってただの生徒だった。
今は怖いの、不安なの。
なんで分かってくれないの?
なんでため息なんかつくの?
「お前、信用してないわけ?」
「違うっ」
そうじゃない……そうじゃないんだ。
でも事実を言ったら先生、きっと私のこと嫉妬深いやつって思う。
それだけは嫌だ、絶対に。
「じゃあ何?」
はっきり言わない私に先生は苛立ったように問いかける。
どうしてイライラされなくちゃならないの?
私はただ―――。
「もういい! 先生なんて美來ちゃんとくっついちゃえばいいんだ!」
口に出さなければ分からない。
そんな当たり前のこと、私は忘れてた。
理解してくれない先生が辛くて、ただ口をついてでた言葉。
ハッとした時にはもう遅くて。
「言いたいことはそれだけ?」
先生の冷たい言葉。
悪いのは私だって、自分でもわかってるはずなのに今は先生のその態度にさえ、悲しみを覚える私。
気が付いたら泣いてた。
自分、卑怯だ。
何も言わずに分かって、なんて馬鹿なこと願って。
あげくヒドイことを言ってしまって、泣いた。
険悪な雰囲気の中、入口あたりで足音がした。
「大橋……」
私が振り向く前に先生がその人物の名前を口にした。
どうして、今美來ちゃんが出てくるの?
余計、こじれちゃう―――……。
「あ、お話し中だったかな……? 亮ちゃんどこかなぁって……」
泣いてる私と険しい顔の先生。
どこからどう見ても普通じゃない。
明らかに美來ちゃんは動揺してた。
「いや、もう終わった。なんか用?」
先生はふいっと私の前を素通りして美來ちゃんのもとへ。
美來ちゃんは私たちを見比べたあと、こちらに背を向けた。
二人の話し声はどんどん遠ざかっていく。
「どうして……私はただ」
気づいてほしかっただけ―――。
不安で押しつぶされそうで、大丈夫?って声を掛けてほしくて。
今思えば当たり前の結果なのかもしれない。
口に出して言わないと分からないじゃない。
どうして気がつかなかった?
でも、どちらにせよ先生は美來ちゃんをとった。
不安な気持ちに拍車をかけるように、その事実が乗っかってくる。
「……っ。どうすればいいっていうの……っ。分かんないよ」
更にあふれた涙。
恋愛に少しでも慣れていたら判断を誤らずに済んだのかもしれない。
けど初心者の私にはただ泣き崩れるしかできなかった。
+ + + +
結局、授業に出る気は起きず私は早退した。
朝、るんるん気分で通った道をとぼとぼ歩く。
はっきり失恋したわけじゃないのに、私は失恋した気持ちになってた。
美來ちゃんは可愛くてきっと勇気もある。
弱虫で泣き虫な私に比べたら天と地の差だった。
「ただいまぁ」
共働きで家には誰もいない。
いつもは少し落ち込むけど今日だけは誰もいないのはありがたかった。
自分の部屋に行き、制服のままベットに倒れこむ。
「先生のこと……私、信用してないのかな」
あのときは否定したけど今考えればそれは信用してないことになる。
最低だ、私。
枕に顔を埋め、ただ後悔する。
どうすればよかったのか、と―――。
気がつけばもう夕方だった。
頬には涙の跡がある。
寝ながら泣いてたのかもしれない。
入院した時もそうだったっけ。
起きたら泣いてた気がする。
「会いたいよ……」
自分からヒドイことを言っておきながら私は先生に会いたくなった。
こういう気持ちのとき、人恋しくなるんだよね。
今度はちゃんと言わなきゃ。
不安だっただけだって。
私は起き上がり、制服を脱ぎ私服に着替えた。
スクールバッグの中からあの鍵を取り出し、ポケットに入れた。
たぶん、まだ家には帰ってないと思う。
外に出るとまだ夏だというのに、少し寒い風が私の肌を刺激した。
身震いをしながら私はゆっくりと確実に先生の家に向かって歩き出した―――。
+ + + +
ガチャ。
鍵をあけ、ノブを回すとそんな音が聞こえた。
中は真っ暗で、一瞬聞こえた猫の鳴き声で私はびくっとなる。
そっか、みおがいたんだっけ。
「みお、私……」
リビングに行き、電気をつけてゲージの前で座り込む。
みおはあどけない顔でこちらを見上げてる。
知らないんだろうな、みおは。
私があなたの飼い主を嫉妬という感情で傷つけてしまったことなど。
そっとゲージから出してやると相変わらず、すり寄ってきてくれる。
「覚えててくれたんだね、みお」
「……にゃあ」
「やっぱ可愛い~って、にゃあ?」
明らかに猫の声じゃない声が、後ろから聞こえて私は振り返った。
そこにいたのは先生だった。
猫のまねをしていたのは先生だった。
「せ、先生!? なんで、えっ」
明らかに動揺する私。
会いたいとは思ったけどこんな急に現れるもんなの?!
しかもなんの音もなかったし!
「なんでってここ俺の家だし」
「怒ってる……よね?」
ようやく落ち着き、恐る恐る聞いてみる。
顔は下にいるみおに向けたままで。
「うん、怒ってる」
「……ごめん。私怖くて」
そっとみおをゲージに戻してやる。
何かをしていないと、気まずくて仕方がなかったのだ。
「俺が浮気しないか?」
「う、浮気って」
確かにその通りかも……。
私は顔を赤くして否定しようとしたけど先生に抱き締められて何も言えなかった。
「俺が里桜を襲えば信用してくれる?」
その言葉に私はぴきっと固まる。
やっぱり先生は先生だ、と思った。
大人は小さな事とかいちいち気にしないし、普通に接してもくれる。
あの時、美來ちゃんのほうを選んだのはまたやきもちを妬かすため?
「先生って子供」
「あ? なんで子供なんだよ」
そうやってふくれるところが子供です、とは言えなかったけどさっきまであった不安はもうない。
最初からこうやって笑いあいたくて、抱きしめてほしかった。
そう願ってた自分が恥ずかしくなった。
わがままだな、自分。
「お前、言ったじゃん? 私だってただの生徒だったって」
「うん?」
確かに言った気もする。
「俺的にはお前と知り合ったときから、ただの生徒じゃなかったよ」
そっと耳元で囁く先生。
ぼっと赤くなる私の頬。
「お前は気づくの遅かったけどな」
そう言って真っ赤な頬に唇を落とす先生。
その唇が徐々に下にずれてくる。
「ちょちょ、ちょっと?!」
慌てて私は先生を押し返そうとする。
けど先生はお構いなしで。
「待って! 待って……んんっ」
ゆっくりと唇を重ねる先生。
不安にさせたことを、先生なりに謝ってるつもりなのかも。
「待ってってばーー!」
どんっと先生を思いっきり突き飛ばす真っ赤の私。
先生は予想通りというように笑ったのだった―――。
でも、でもね先生?
この先はもう少しお預け……かな?
翌日、私は若干スキップをしながら学校へ向かっていた。
昨日遅くまでずっと先生とメールをしていたから気分は晴れやかだ。
前まではあんなに悩んでたのに、嘘みたい!
早く先生に会いたいという気持ちからか私はつい早足になっていた。
そして気づけばもう学校の門の前―――。
校舎に続く道にはたくさんの人が行き来している。
前はここを通るのがおっくうだった。
理由は二つ。
人前が苦手なのが一つ目の原因で、二つ目の原因は(今では考えられないが)先生に会いたくなかったから。
ほんとに、人の気持ちって怖い。
「あれ……?」
そこでふと感じた違和感。
そう、いつもならここらへんで翔が抱きついてくるはずなのに、今日はそれがない。
あの頃は迷惑だったけれど、いざ無いとなれば少し寂しい気もする。
「里桜ーー!!」
むなしさを感じながら靴箱の前で靴を履き替えていると、中からだれか走ってくる。
といっても一人しかいないだろうけど……。
「いっちゃん? どしたの?」
はぁはぁと息を切らすいっちゃんは慌ただしく私の腕をつかんだ。
いっちゃんがこんなことするのは初めてだったから私はびっくりした。
もしかして入院してたことかな?
けど違ったみたい。
「いいから! 職員室に行ってみな!」
「何ー!?」
私は鞄を肩からずらしながらいっちゃんに引っ張られる。
職員室は昇降口からすぐそこだ。
「ほら、あれ!!」
今は朝だというのに職員室の前にはなにやら人だかり。
それを見て私はぎょっとした。
まさか、私たちの関係がバレたと思ったからだ。
けれど違ったみたいで。
だってそこにいる人全員が男子でみんなうっとりとしている。
「あーもう! どいてどいて」
背が低い私は中が見えない。
それに苛立ったいっちゃんは、男子たちをかき分けて私を前に押し出した。
みんな迷惑そうに私たちを見ている。
「あの子……転校生?」
中にいたのは、先生と楽しく話す、私の学校の制服を着た女の子だった。
茶色がかった長い髪をサイドに束ねて、顔立ちもすっきりしてて可愛い&きれい系だ。
私はつい見とれてしまった。
高くも低くもない身長。
すらっと伸びた手足にガラスのように透き通っている肌。
そしてなにより先生と話すときのあの―――笑顔。
とたんにちくりと痛む胸。
「い、いっちゃん。教室いこう」
「え? あ、こっち気づいたって! 里桜ー!?」
呼び止めるいっちゃんを無視して私は男子をかき分け、すたすたと歩き出した。
見たくない―――。
心がそう言っていた。
たぶん、先生はここにきて長いだろうし、転校生と話しててもおかしくない。
けど、やっぱり―――。
「宮下!!」
階段の踊り場あたりで私は呼び止められる。
足は止まるけど顔は正面を向いたまま。
「誤解すんなよ。俺はお前だけだから」
先生はそっとそう囁いて私のポケットに何かを入れた。
それがなんだか確認する前に先生は微笑み、階段を降りて行った。
「鍵……?」
それは小さな銀色の鍵。
それが指す意味はきっといつでも来ていい、だろう。
鍵には私のお気に入りのクマちゃんがついている。
けどそのクマちゃんは私のと違い、子猫の格好をしていて―――。
こんなのもあったんだ、と笑みがこぼれる。
そして、昨日のいつかは分からないけど必死にこれを探してた姿を想像してついに吹き出した。
さっきまでツンツンしてた自分がアホらしくなってきた。
たかが転校生。
されど転校生、じゃん。
「里桜ー? なに笑ってるの?」
一人で笑ってたら上の階段から私を見下ろす人物が一人。
それは今朝、抱きついてこなかった翔だった。
病院に入院して以来、会ってなかっただけに少し気まずい。
告白っぽいことをされたのだ。
気まずくないわけがない。
「あ、翔。今日は早かったんだね」
ぎこちなく笑うと翔は悲しく笑った。
「普通に接してよ。告った俺がバカみたいじゃん」
あ、やっぱりあれは告白……。
でもいまいち実感が湧かない。
幼馴染の翔。
お兄ちゃんみたいな感じの翔。
そんな感じには、見れないよ―――。
「あの返事はいいから。質問いい?」
あっさりとそう流す翔はきっと無理してる。
そしてその質問は分かり切ってる。
先生とどうなったか、だ。
きっとあとでいっちゃんにも聞かれるであろう。
「翔。私は先生と何ともないから、ね?」
翔が言いかける前に私はそういった。
誰に聞かれてるか分からないこの状況で口を滑らすわけがない。
きっと、先生とのことはいっちゃんにも言えない。
「じゃあ、その鍵は?」
鋭く聞く翔。
答えに詰まる私を助けるようにあたりにチャイムが鳴り響いた。
「まあ、いいや。またあとでね、里桜」
珍しく真剣な翔に気圧された私はしばらく呆気にとられていたが、下からたくさんの男子が歩いてくるのを見て慌てて階段を駆け上がった――――。
てかね、私に安息はないのかな?
フラれたって勘違いして怪我して、両想いになったと思ったら元カノの登場。
そして次は謎の美少女転校生だ。
翔の突然の態度急変といい……。
教師との恋愛ってこんなにも大変なもん?!
「じゃ、朝のHRを始める」
いつの間にか朝のHRの時間になっていた。
愚痴りだすと止まらないのが私の悪い癖だ。
「えーっと、今日転校生がこのクラスに入る。季節外れだがみんな仲良くしろよー」
気だるげに挨拶した担任の横で欠伸を噛み殺す先生の姿。
そっか、このクラスに来るから副担にまかせたのか。
担任では頼りがないからか、納得だ。
教室の扉が開くと一斉に吠える男子たち。
先生もその声にびっくりしてる。
「大橋 美來(おおはし みらい)です。東京から来ました。よろしくね」
教壇まで歩いてきた彼女は笑った。
でもその笑顔が悩殺ものだと分かってないのだろうか。
名前も可愛いし、もしかしてこの人完璧?
ふとぶつかる視線。
美來ちゃんは微笑むと首をかしげた。
なぁに?
そう聞こえてきそうだった。
「亮ちゃん、わたしの席はどこ?」
近くにいる先生に問いかける美來ちゃん。
りょ、亮ちゃん?!
私でさえも先生なのに?!
やばい、うかうかしてるともしかして……。
「あー、空いてるとこ」
わずかに笑った先生はアバウトに答えた。
「えー、何その答え」
くすくすと笑い、仲良さげに話す先生と美來ちゃん。
悔しいけど絵になる。
きっとクラスのみんなもそう思ってたに違いない。
担任は大あくびをしているし、なんだか見せつけられてるみたいで腹が立った。
私だって泣いてばっかじゃない。
たまには怒るよ、今は理不尽かもだけど。
「いっちゃん、トイレ行ってくるね」
前の席に座るいっちゃんにそういうと私は教室を出た。
ゆっくりと、堂々とした足取りで。
止める者は誰もいない。
先生が来てくれる、という淡い期待は消えた。
トイレの個室に入ると感情が押し寄せてくる。
あのときみたい、自分の気持ちに気付かなかったとき―――。
バカな私、なんのために先生は鍵を渡してくれたのよ?
私だけだって言ってくれたじゃん。
ねえ、私って贅沢ですか?
近くに行けばいくほど、多くを望んでしまう。
先生のすべてを私のものにしたくて。
こんなの初めてだって理由で逃げてばかりで、そのくせ多くを望む。
ねえ、私って卑怯ですか?
不安なことにだけ逃げて、翔まで巻き込んでしまったかもしれないのに。
あの悲しい顔、態度。
すべて私が変えてしまった。
気持ちに気付かなきゃよかったと思う私はどこまでもつくづく――――弱い人間だ。
私の心の問いに答えてくれる人はいない。
それほどまでに先生に恋することは大変で辛くて、幸せなことを見逃しそうなくらいで。
絢さんのとき、覚悟したなんてよく言えたなって思う。
とにかく今はぐちゃぐちゃで、この感情が嫉妬だなんて気づきもしない私はただひたすら唇を噛み泣くのをこらえ、儚く願った。
先生、私だけを見てください、と―――――……。