また 正倉院展の季節がやってきました。

 つい先日(昨年の同時期のことなのですが)、 行ったばかりじゃないか、齢を重ねる毎に

1年が早ーい・・・と老人性独り言をブツブツ言いながら、 早速 行ってきました。

 今回は2か月前から準備し、奈良へ行ったらアソコへ行こう、帰りには京都のココへ行こうと準備していたにもかかわらず 出発間際になって緊急の 所用が発生し結局、

 正倉院展 以外は訪れることがほとんどできず展覧会だけ鑑賞して 翌朝には横浜の自宅へ戻るという強行軍でした。1年ぶりの 奈良・京都を堪能することができず残念無念!

 

 10月29日 朝 横浜を出発し 昼頃 奈良に到着、これでもかというほどの数のインバウンドの方々と、鹿に追っかけられキャーキャーと騒ぐ修学旅行生で大混雑の奈良公園・大仏殿をすりぬけ、東大寺三月堂(法華堂)へ。

   東大寺三月堂(法華堂)

 

不空羂索観音(高さ五mはあろうかという国宝です)

 

 年に一度の不空羂索観音様(国宝)にお参りした後、午後3時頃から 正倉院展の奈良国立博物館へ、(コロナになってから日時予約制で当日券はありません。そのドサクサに観賞料も2倍にステレス値上げをしました。まぁ、その分比較的ゆったりと、またギャーギャー嬌声が飛び交う大阪のおばちゃんグループはいなかったので・・・(おこられるかな)・・・

インバウンドの方々もいなかったのでじっくりと鑑賞できました。

奈良国立博物館

 

入場前の列、日時指定制のため比較的ユックリ

 

 夕刻、鑑賞を 終了 そのまま泊まり、翌朝には横浜へまっすぐ戻ってくるという 慌ただしい日程でした。

 

 へそ曲がり且つヤブにらみの 歴史感を持った小 生が数点の 展示物を紹介します。

 

①九条刺納樹皮色袈裟(くじょうしのうじゅひしょくのけさ)

 

 

  聖武天皇が身にまとわれたと思われる袈裟です。

 光明皇后が、亡くなった夫である聖武天皇のご遺愛品を東大寺に奉納した時、その目録である 国家珍宝帳のトップに書いてあるものです。 それだけにご夫婦にとって、とても大切なものだと思います。

 (私の妻だったら、私が亡くなった時何を最初に奉納するでしょうか。私が浮気したときの証拠の品でしょうか、それとも妻としての扱いに対する呪いをかけた藁人形でしょうか)

 もともと袈裟は僧侶が身につけるもので、そこらへんにあるボロ布を縫合わせてつくったモノですから、本品もそれに似せて作ってあるので特に図柄がありませんが丁寧に作られたモノです。

 

②正倉院古文書正集 第七巻(しょうそういんこもんじょせいしゅう)

 

道鏡サンの堂々とした命令・署名がご覧になれるでしょうか

 

 道鏡直筆の指示書それも署名がある書類がありました。称徳天皇の権威をバックに、役所にムリヤリ頼み事というのか命令をした指示書 と署名入りの文書です。

 その署名がすごく立派!!で驚きました。後に称徳天皇をたぶらかし、メロメロにした妖怪のような 坊主と歴史では評価されていますが、 そうは思えない 堂々とした筆致の署名でした。ムチャクチャ見識のある、そして精力抜群の僧侶の署名に見えました。

 

③平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)直径40cm

 

 みなさまもよくポスターなどでご覧になる螺鈿細工が施された円鏡です。琥珀や夜光虫の貝殻を埋め込んだ螺鈿細工になっています。

 贅を尽くして素晴らしいモノです。 まあ 鏡に使うにはもったいないようなものでした。

 

⑦楓蘇芳染螺鈿槽螺鈿槽琵琶(かえですおうぞめらでんのそうのびわ)です

第75回正倉院展ポスターに描かれた四弦の琵琶です

 

 

 日本製なのか唐で製作されたのか分からない4弦の琵琶です。

 会場ではBGMで演奏の音が聞こえていました。勿論優雅で落ち着いた、はるか天平の雰囲気(別に知っているわけではありませんが)が漂っていました。

 とある晩、宮中での月明かりのもと、光明皇后が優しく弾かれて、それをウットリと聖武天皇が聴かれている光景が浮かんできました。

 (我が家だったらどうでしょう。「へたクソ!」「うるさい!黙ってろ!」と演奏音とともに夫婦喧嘩の罵声が飛び交っている事でしょう)

 

 

奈良へ観光に行かれたら「 ぐるっとバス」というのを使って移動するのが、安くて便利ですいています。 観光奈良市内をぐるぐると回るコースで 1回利用 100円です。(市内 バス 使ったら240円ぐらいすると思います)

 

 

   ぐるっとバスです

 

 私は奈良へ行ったら必ず東大寺法華堂の不空 検索観音(ふくうけんさくかんのん・国宝・高さ5mぐらい)をお参りするのですが 、 分厚い 朱印帖を携えて、 読経・御参りの後、その場で 御朱印帖に直接記述していただくようにしています。当日は日曜日で混んでいたということもあったのでしょうが 、また寺守が不足という事もあったのか、その朱印帖に直接記述してもらうことなく、「書置き」と称してすでに書かれてある紙ぺラを渡されました。この紙ぺラを朱印帖に貼っておけというわけです。 

 いささか腹が立ち違和感を覚えました。

朱印帖はお参りする 我々にとってはお寺にお参りしたとき、その証としてお寺から「その場で、毛筆で朱印帖に書いていただく」モノです。そこに「ありがたみ」があります。スタンプ集めをやっているわけではありません、

 またこの朱印帖は死出の際棺に入れてあの世へ一緒に旅立ちます。 そのように大切なものなのです。

  お寺さんの中には朱印帖を持たないで、単独の紙に書いてほしいとお願いしても拒否されることもあります。

 ちょっとの腹立ちと違和感がありました。みなさんはどう思われますか。

 

 正倉院展に通うようになって13年、今回は慌ただしい鑑賞

でした。