大チョンボの三味線おさらい会と、癒しの紅葉極楽浄土へ

 

 11月23日に例年のごとく「三味線おさらい会」がありました。

この会で舞台に上がること6回目。今年は『吉原雀』という江戸吉原の情景を唄った曲にチャレンジしました。

 この曲は吉原の廓の情景や花魁の気持ちを曲にしたもので艶やか且つ華やかな曲であり、三味線の手も、立三味線(たてしゃみせん、コンサートマスターのようなモノ、この場合は私メ)と脇三味線(わき、2枚目3枚目の三味線)の間で、替手といって、掛け合いがあり、さらに、調子も演奏途中で幾度も変わり、そのたびごとに演奏しながら調弦を変えるなど、大曲、難曲には違いないのですが・・・・

「趣味」とは思えないほど実生活を犠牲にして稽古を重ねること3か月。「稽古は嘘つかない」と本番に臨みました。

 

     

    中央、白髪老人が私メであります。

師匠はじめプロを従えての颯爽のスタートだったのですが・・・・

 

 しかァ~~し!

 残念、無念、悔しい、ガックリ、○×△※・・・・

 

 スタートはまぁまぁ・・・・私の独弾きもウマくいきました。が、途中で清掻(スガガキ)といって吉原情緒を表す賑やかそして派手な三味線の掛け合い(チャン・チャン・チャン・・・)があるのですがここでコケ・・・・・・ました!!

掛け合いが終わって次の静かな「出」で音が全く違う!・・・・パニックになりました。

 ここでは、掛け合いと同時に調子も二上がりから本調子に変える(2の糸の開放弦を1音下げる)調弦動作が必要なのですが、それが2の糸を下げ過ぎてしまって、スガガキが終わった後、静かな曲の「出」にとんでもない音が出てしまったのであります。

♪♪・・・・・チャン・チャン・チャン・「トーン・トーン」

 

    エェーッ?! とんでもない音!!

 

サァーそうなるとパニック!演奏しながらの修復もできないぐらいの大幅な下がり方で・・・・

 仕方なく曲を一旦止めて調弦し直しあらためて弾き直しを始めることになったのです。(本番の演奏中にやり直しをすることなど、どんな演奏会でもありません)・・・・その後は当然このショックを引きずったまま20分の演奏が続き、なんとなく充実感がないまま終ってしまったのです。

見てください。いつも柔和な私がこの時は前のチョンボを引きずったままの

鬼の様相での演奏です!!

 

 原因は・・・・今思うにやはり老人性加齢症です。

アノ瞬間に「掛け合い」と「調弦を変える」、2つのことを同時にやらねばならない、それが老齢とともにマルチでモノゴトを処理できなくなる・・・・(老齢のみなさんも経験がありませんか)                                                                    

 

一所懸命稽古した楽譜デス。

右端がチョンボした清掻の部分です。

 

 演奏終了後も、おさらい会が終わってからも私の心の落ち込みは激しく、グサッときて、2週間ほど三味線を見るのも触るのもイヤで、もういっそ三味線はやめようかと思いつめたほどです。

(たかが趣味ですよね、仕事と違ってこの失敗で人生が変わるわけでもなく、現役サラリーマンの時は仕事で多くの失敗を重ね、時には干されたりもして、ガッカリしたことは幾たび、それを乗り越えてきたのに・・・・とは思うのですが・・・・)

 

 あまりの落胆心に気を紛らそうと4日後の11月27日に久しぶりに車を駆って(高齢者の久しぶりの運転、危ないですが)、丹沢大山の中腹にある、大山寺まで山登りしながら紅葉を見てきました。

 

 

 写真の様にスバラシイ景観で、紅葉祭りが終了したにも拘らず大勢の人出でしたが、写真を撮る人たちが前後左右をウロウロする中、参道の階段に長時間座りこんで、ボケーッとして、まるで極楽浄土の世界のような紅葉を見ながら

『あぁ、来年の紅葉は見られるのだろうか』と浄土の世界に浸りつつ瞑想にふけり、少しはおさらい会の痛心も回復した次第です。