「景気が良くなって、主婦や高齢者といった低賃金の非正規労働者が大勢仕事に就いたためで、アベノミクスの成果だ」
アベノミクスの下でも、名目賃金からインフレ率(消費者物価上昇率)を除した「実質賃金」が低調に推移している原因について、安倍総理らはこう説明している。確かに、実質賃金が低めに出る一因でろう。
だが、例によって、“隠さた3つの原因”がある、と考える。
第1点は、そもそも好景気ならば、人手不足になるので賃上げが順当に行われていれば、正社員も賃上げがある上に、主婦や高齢者も恩恵に預かり、実質賃金の低下は小幅に止まるはずだ。
第2点は、主婦や高齢者など非正規労働者が「低賃金なのは当たり前」と言わんばかりの見下した態度で、賃金格差の現状を肯定しているかのようだ。
そして第3点は、消費者物価の上昇率よりも賃金上昇率の方が高ければ、実質賃金は上がるわけで、安倍総理のような屁理屈をこねる必要がないし、黒田日銀は異次元緩和からの脱出論(出口論)を進めてもいい、ということになる。
こうして、実質賃金をめぐる良いとこ取りの「言い訳」は、ご自慢のアベノミクスが完全に行き詰った現実を糊塗しようとする苦境を如実に物語っている。