正解は、②徳富蘇峰、です。
所得税から逆算した徳富蘇峰の年収は、2万3250円です。当時の個人消費支出が年ベースで一人当たり179円27銭でしたので、いかに高額所得者だったかが想像できます。
蘇峰はご存じのとおり、明治から昭和にかけてのジャーナリスト、思想家、歴史家、評論家と多彩な才能を発揮した人物です。蘇峰は号で、本名は猪一郎といいます。
蘇峰は大著『近世日本国民史』を著するなど文士というに止まらず、『國民新聞』を主宰し、日本の言論界に不動の地位を築くとともに、門下から優れた文学者を輩出しました。文筆活動以外に出版事業を行ったことが高収入に結びついたと思われます。
2位は、『父帰る』の菊池寛で、7500円です。菊池も新思潮派の作家であるとともに、文芸春秋社を創設し、経営者としての一面も持っていました。
3位は、水上滝太郎の7200円です。小説家、評論家、劇作家であり、泉鏡花に傾倒し、「水上」「瀧太郎」は鏡花の作品からとったペンネームです。妹の富子は小泉信三夫人。
4位は、巖谷小波(いわや さざなみ)で、6500円です。作家であり、児童文学の祖ともいわれています。本名は季雄(すえお)といいます。
5位は、久米正雄で6000円台です。小説家、劇作家、俳人として知られ、俳号は三汀(さんてい)“。“微苦笑”という語の発明者として有名です。
参考資料:岩崎爾郎『物価の世相100年』