場所をとらなく、整理も簡単なようだ。でも、私は場所をとらず整理された本は多分読まない。本は、手に持った時の感覚、装丁、ページの組版、文字そして買った時の記憶が1セットになり本となっている。そして乱雑であっても必要なものなら探す。探す過程で「お!」という本に会いそこから横道へいく…。そういうものが電子本にはないからいらない。電子本でかまわない人は、情報としての本としているからだと思う。そういうことは人それぞれであり、重い本をもつことが出来なくなれば電子本にとなるだろうしそもそも本に装丁などどうでもいいという人なら私の価値観はなんだそれは?だろう。

 

この前、筆記具を使ったのはいつだっただろう、という話をしたことがある。スマホやPCでものを書くことが増え、筆記具で書くことがかなり減った。が、私は毎日鉛筆(トンボMONO100)を毎日使う。考え事は100%鉛筆でステノブックに書いている。本を読む時のメモでも使う。私は洟垂れ小僧の頃から文房具店が大好きで、おばあちゃんに連れられ日本銀行の支店横にあった文房具店へ行き、欲しいものは何でも買ってもらった。その文房具店も今はなくなり、文房具店独特の匂いがする店ももうどこにもなくなった。

 

政府がデジタル化がどうたらいいだした時に、無味無臭の世界がいよいよ始まるのかと嫌な気持ちになった。人は動物であり、食品製造会社で一番衛生管理の難しい対象が人であるように、人が人であることは無味無臭ではないことを最近忘れているのではないか?これからの季節、少し動いただけで汗がでる。それは自然な生理現象である。まずはそういう感覚を臭いとかいわないで生きていることだと受け取れないものか暑くなる前に思う。