漢和辞典の不振ぶりを耳にしてかなりの時間が経つ。60年前に発行された漢字の語源辞典ーといっても手元にある版は1993年だがー98年発行の中型漢和字典、92年発行の中型漢和字源、95年発行の小型漢字字源辞典。全国から集めた本屋にはもうない漢和関係の本が机の横のキャスター付きの収納ワゴンに置かれている。重い本ばかりなので全体耐荷重18キロで、漢文法の本やら日本語文法、国語辞典数冊が部屋を移動するのに合わせて引いている。本は本棚に飾るものではなく使うものだから…。古本大嫌いな奥さん対策で、匂いを消すためにビニールの袋に箱から本体を出して中に入れ消臭剤を置いて袋の空気を抜きガムテープで留め、型が崩れないように段ボールへ置き、半月もすると匂いは無くなる。匂いの確認をしてからこのワゴンに置く。(私と娘は、匂いがしようとシミがあろうと読めれば気にはならないが、そういうものが嫌いな人がいることを結婚してから知った。30年くらい前のものを使ってるが前に使っていた人の、メモとかどこで買ったとかが残っていると大切に使わせてもらいますという気持ちになる)

 

漢和辞典が売れないらしい。漢文を教えることが絶えたことや子供が少なくなり紙の辞書はもう明日なきものへ向かっている。…でも、三省堂ーここは本当にとてつもない辞書を製造している会社で大辞林他ゴロゴロ同社の製品は家にあるーのサイトにこんな記事がある。三省堂の創業者・亀井忠一氏が辞書用の用紙を国産で実現した史実が書かれている。

 

インディアペーパーの開発

https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/benton16

 

こういう話を読むと多くの人たちが現在では当たり前の物を、何とかしてこういうものを作りたいという人の思いが初めにあり出来たことを教えてくれる。思いがなく発展が生まれるわけではない。そのことは忘れてはいけない。それはデジタルの世界でも起こっている。辞書のような手間がかかり経費が青天井になってしまう割の合わないものの完成品を手にとると、ある単語の語釈の比較も一生懸命やってるなぁと思う。漢和辞典は昔の漢字だからとって全部同じではないのです…。