先週、三越近くまで行く用事がありました。
ちょうど四国新聞の「讃岐うどん遍路アンコール版」を熟読したばっかりだったので、一番気になったお店に行ってみることにしました。
三越のま裏にある「手打ちうどん 山鹿」さん。
http://www.shikoku-np.co.jp/udon/shop/shop.aspx?id=155
正直、本を読んでいなければ、中に入るのを躊躇したかもしれません。お昼時なのに、うどん屋によくある行列もありませんでしたし。
で、中に入って、びっくり。中はカウンターのみの、古い居酒屋のようなたたずまい。
(本によると、二階にも席はあるらしいです)
あいたばかりのカウンターに座ると、上品な感じの女店主さんがやさしい微笑で「何玉食べますか?」と聞いてくれます。
「おかみさん」でも「おばちゃん」でも「おばあさん」でもない、もちろん「ばあちゃん」は論外。なんていう表現がいいのかなあ、などと思いながら「玉数」を答えましたが、その後、待てども待てどもうどんが出てこない。
まだ何うどんにするかも言っていません。
メニューを見ると、うどんのみで、サイドメニューはなし。本によると、ここは「生醤油かけうどん」が、「刺身うどん」として有名らしいのですが、サイドメニューがないことを思えば、何か「具入り」のを食べておきたいし、しかし、「刺身うどん」も捨てがたいし……とずいぶん迷いました。
しかも、ずいぶん迷ってもなかなかうどんはでてきません。
そして、にぶい私はようやく気付きました。
「注文を聞いてから、うどんを茹でている」ことを。
しかも、カウンターの陰でよく見えませんでしたが、茹でている鍋はあまり大きくないみたいです。
お客さんがくるたびに、一組ずつ茹でているのでしょうか。
それはおいしいに違いありませんが、一時間しかないお昼休みに知らずにお店に入った人はどうなるのでしょう。
そんなこととは知らずに店に入ったので、他の店のように、並ぶことなく席についたにもかかわらず、気が遠くなるほど待ちました。他のサイト によると、茹で時間は20分ほどだそうですが、
以前「るみばあちゃん」のうどん屋さんに 行った時より、待ったと思います。
カウンターに座っている7人ほどのお客さんが、みんな固唾を飲んで、店主の奥様と、手伝いらしい男の人の動きを見ていました。
カウンターのお店って、恐ろしいですね。お店の人の手際が、全部丸見えなんですもの。
例によって、待つのが嫌いなオヤジは、かなりイライラしているみたいでしたが、気付かないフリをしました。多分もう二度とこのお店には来られないだろうなあ…と思いながら。
そして、ようやく「何を食べるか?」と聞かれたとき、もう二度と来られないと思ったので、森繁久弥由来と言われる「きざみきつねうどん」を頼みました。「刺身うどん」に心を残しながら。
でもね、迷うことなかったんですよ。自分が頼んだうどんが仕上がる前に
「これも食べてみてください」と
小鉢に一口ぶんくらいの、「刺身うどん」を出してくれたのです。
なるほど、しこしこツルツルの喉越し。あきらめていた「刺身うどん」が食べられてホッと嬉しくなったとき、
ようやく出てきました。「きざみきつねうどん」
写真で見てもわかるように、不ぞろいな麺が「手打ち感」を出していて、もちもちしこしこおいしい。
生のあぶらあげを刻んだだけのようなシンプルなトッピングもなぜか、みごとにダシと溶け合っていて、本当にやさしい、おいしい、懐かしい感じのおうどんでした。
出てくるまでが本当に長くて、肩の痛みを忘れるほど、ハラハラドキドキした分、味も格別でした。
昭和の、寅さんの世界にでも紛れ込んだみたいでした。
長い待ち時間の間、店主さん(おばさんでも、おばあさんでもばあちゃんでもない)の人柄が、その言動から感じられて、私はとても好感を持ったのですが、注文を聞いてから、茹でたり、てんぷらを揚げたりって、おいしいけれど、時間がかかりすぎて、たいへんそう。(それを、ほぼひとりでやっているのですから)
「讃岐うどん遍路」に紹介されているお店は、大勢が押しかけても大丈夫な店ばかりかと思っていたのですが、ここは、大勢が押しかけたらとんでもないことになりますね。
ゆったり、1時間くらい潰してもいいや、と思える気分のときにどうぞ。うちのオヤジのように、せっかちな性分の人にはむきません。


