幸「これ玲ちゃんが書いたん?めっちゃ上手いやん」




スタジオの隅っこで、玲ちゃんと茉里乃ちゃんが仲良さげに話してる




今日の撮影はグループショットの後、ソロカットがあるから待ち時間はたっぷり
控え室でおしゃべりしてる分には普通なんだけど
あの距離感、、、ちょっと近すぎない?




茉里乃ちゃんの肩に自然に手を置く玲ちゃん
それに満更でもない顔で笑い返す茉里乃ちゃん
うぅぅうん……なにそれ
心の中で小さく唸る
モヤモヤする




だって玲ちゃんは私の彼女なんだよ?
気づけば、私はその光景を遠くから見つめてしまっていた




保「麗奈ちゃん、どうしたん?」




背後から声がして思わずビクッとした
振り向くとぴょこっと保乃ちゃんが現れた




保「麗奈ちゃん、嫉妬顔に出てんで〜」

麗「えっ!?し、してないよ…!」

保「ふーん」




慌てて顔を手で隠したけどもう遅かった
保乃ちゃんはにやにやしながら私の頭をぽんぽんした




保「はい、行ってらっしゃい!」

麗「…え?」




指を指した先にはさっきの二人
まだくっついて笑ってる
これは動くしかない!
ありがとう、保乃ちゃん!




麗「玲ちゃん」

玲「麗奈?」




後ろから声をかけると玲ちゃんが驚いた声で振り返る
その瞬間、私は玲ちゃんの手をスっと取ってぐいっと自分の方へ引き寄せた




麗「ちょっとだけ、こっち来て」

玲「え、うん……?」

麗「茉里乃ちゃん、ごめんね。少し借りるね」

茉「あ、全然ええで。玲ちゃん頑張ってな」

玲「ん……?」




玲ちゃんの手、細くてあったかい
でも今はそれ以上の温もりが欲しくて
スタッフさん達に軽く会釈してから空いている控え室に滑り込んだ




玲「麗奈、どうしたの?」




控え室に入った途端、玲ちゃんが不思議そうな顔で私を見る
私はちょっとだけ不機嫌な声で言った




麗「……茉里乃ちゃんと仲良さそうだったね」

玲「え、あぁ……うん、絵の話してただけだけど?」

麗「でも……すごく距離近かったし、肩とか…触れてたし」




玲ちゃんは一瞬きょとんとした後、ふふっと笑って私に近づきながら言った




玲「もしかして……嫉妬してる?」

麗「べ、別に!そんな事……ちょっとだけ、だもん」




すると今度は玲ちゃんから手をぎゅっと握られた




玲「ごめんね。麗奈の前であんまり考えてなかったかも」

麗「……うん」

玲「麗奈、可愛い。それだけ好きって思ってくれてるって事?」

麗「うん」




玲ちゃんがふわっと優しい目で私を見つめる
その視線に胸の奥がじんわりと温かくなる




玲「麗奈はさ、独占欲強めの彼女なの?」

麗「ちが……わない、かも」

玲「じゃあちゃんと伝えて?」

麗「……玲ちゃんは私の彼女なんだから、他の子にそんな距離感で接しないでほしい。嫉妬、するから」




声が震えたのは多分怒ってるからじゃなくて
好きだから。大好きだから




玲ちゃんは両手で私の頬を包んで微笑んだ




玲「うん、分かった。ちゃんとする。ごめんね。」
   「でも、嬉しかった」

麗「なんで?」

玲「だって麗奈にそんなに思ってもらえてるって改めて感じたから」

麗「……ばか」

玲「ばかでいいよ。麗奈だけの"ばか"でいたい」




その言葉に心がぐらっと揺れた
玲ちゃんの顔が近づいてきて私の額にそっと唇が触れた




麗「ん、もうちょっとだけぎゅってしてて?」

玲「もちろん」




玲ちゃんの腕に包まれて私はぎゅっとしがみつく
この時間がずっと続けばいいのに




麗「私、玲ちゃんが誰かと笑ってるとちょっと怖くなるの」

玲「うん」

麗「でも、私が一番って思ってて、いい?」

玲「うーん、"思ってて"じゃなくて」
   「麗奈が一番だよ」




耳元で囁かれて顔も身体も全てが熱くなった




控え室の扉を開ける前に、私はもう一度だけ振り向いて聞いた




麗「ほんとに?ほんとに、麗奈が一番?」

玲「ほんとだよ。麗奈が世界一」




そう言って笑う玲ちゃんの顔が真っ直ぐで、少し照れてて、
でも誰よりも私を見つめていた




だから今日も好きが増えちゃう





読んでいただいてありがとうございます

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