理事会が終わっても、心の中のざわつきが止まらなかった。蕨の質問は予想以上に鋭く、明らかに何かを掴もうとしている。それが南辺の隠蔽した事実にどれほど近づいているのか、考えるだけで背中に冷や汗がにじむ。奴は確実に踏み込んできた。
会議の間中、南辺は気づかれまいと冷静を装ったが、内心では不安が膨らんでいくばかりだった。架空の工事や取引を仕立て上げたはずなのに、蕨はまるでその裏側を見透かしているようだった。部分的な修繕という言い訳でその場は切り抜けたが、次に何を仕掛けてくるかがわからない。
部屋に戻るとすぐに資料を確認した。架空取引の工事報告書や費用の明細。すべてを再確認して、抜け目のないようにしておく必要がある。もし次の理事会でさらに突っ込まれたら、その時こそ、全てが崩れる危険があった。
パソコンの画面に目を向け、南辺はさらに次の隠蔽工作を考え始めた。もはや一つの隙も許されない状況だ。これ以上、蕨に気づかれることは絶対に避けなければならない。架空取引の記録をさらに詳細にし整えておく。
彼は資料の山に埋もれながらキーを叩きまくる。蕨の発言を想定し、それを打ち崩す論理を幾度も組み立てては書き直す。「これでは甘い」と呟き、思考を深める。手元の時計が夜半を告げても止まらない。焦燥と闘志が交錯し、彼の瞳は鋭く輝いていた。次は必ず勝つ。
