デザイナーが描く理想のデザインとプログラマが危惧する現実 | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

自分の場合、主に社内システム構築に携わることが多いんですけど、社内用サイトだからといってあんまり適当なデザインもどうかと思うのでデザイナーさんも含めて画面設計をしたりすることがあったりします。

その際に「こういう今風なデザインにしましょう!」というデザイナー側の意見に対して「いや、それだと対象のユーザー層がついてこれなさそうだし、このシステム要件に合わないのでもう少し現実的なデザインにしましょう」みたいな意見の対立が起きたりします。


そんな激しい意見の言い合いをするわけではないのですが、見た目を格好よく見せたり流行に乗せたデザインにしたいという意見と、実際にユーザーとの窓口をする保守・運用の観点から見た目はどうであれなるべく問合せがないわかりやすいデザインにしておきたいという意見があったりするわけです。



本当は作りたい理想の形


別にエンジニアが現実的な意見ばかりを口にするわけではありません。

本音を言えば、モダンで美しく無駄の無い洗練されていてキュッキュ動いて半透明な感じのデザインとかでシステムを作り上げたいと思ってたりはするんです。

ですが、どうしてもデザインありきになってくると実際にそれをずっと運用したときのことを考えてしまったりします。


理由はいくつかありますが、一番大きいのは現場で利用者と近い存在のエンジニアにとってはあれこれ言ってくるユーザーやそのトラブルの対処に時間をとられることを恐れてなるべく複雑なデザインを取り入れたくない思っています。

単に見てくれだけを気にするデザインはすべきではないのでしょうけど、実際には絵コンテしか書けませんと言ったデザイナーさんも多く、どうしても本人の理想のデザインを語ってきたりもします。


私はデザイナーではないのでその真意についてはよくわからない部分も多いのですが、エンジニア側の意見に話を戻せば、例えばそのサービスのユーザー層を考えたときに、幅広い年齢層の人が使っていたりしてモダンなインターフェースを使いこなすことが難しいだろうというのがあったりします。

社内システムの場合、面倒なことに年齢層と社内の権威というものが比例するケースがあったりして、どうしても上のレイヤーを無視できないケースもあったりします。


また、社内のIT環境の基準が決まっていたりしてモダンなデザインやUIをきちんとサポートできる最新のブラウザが利用できないといったケースもあります。

これも結局は社員のIT水準が一定ではないことの弊害だったりもするんですけど、ヘルプデスク業務の効率化のためにブラウザはIEのみとかになってたり、業務都合でブラウザやバージョンを固定されていたりするケースもあったりして、理想のデザインを実現することが技術的な観点で難しいケースもあったりします。


そのほかにも、以前に「プログラマから見たデザイン 」で書いたようにそのシステムの業務側の担当者がいて、その人の感覚でデザインが変えられてしまって本来の意図やそこに込められたメッセージが全て無駄となるようなこともあったりと、なんだかんだでそういう過去の経験から、折り合いを付けたいと現実的なデザイン案を言ってしまったりします。



現場が考えるデザイン


一方で、じゃあ現場で考えているデザインというものが果たしてベストなのかといったら全然そんなことも無くって、それはもうデザインと呼べるものではなく単にテキストでしかないといったものも多かったりします。

要するに問い合わせに跳ねるようなことがないように説明文をやたら入れたり、マニュアルをいたるところに添付したり、間違いを無くすためにやたらと長いナビゲーションページを用意したり、無駄に文字がでかかったり、目を引くようにとほとんどの文字が赤字だったりします。


元をただせばそういうものを解消するために必要なのがデザインなのに、現場ではその知識が無いためにできることといったら先ほど書いたようなテキストの羅列で回避するぐらいしかできないための苦肉の策が最悪な方向に向いたりするわけです。

ですが、結局ユーザーはそんな注釈を読んだりしません。

どんなに書いたところで無視されます。
現場も実はユーザーはそんなもんだと思っていたりして、注釈をやたら入れているのはクレームが入ったときに「その件はきちんと画面に書いてますよ?」って言うための予防線を引いているだけだったりします。


現場は、そもそもデザインがどうあるべきかって話はされないので理想像さえも描けません。

まぁ、デザインする手段を持ち合わせていないのでできることといったら書いたとおりテキストの羅列しかないので致し方ないのかもしれませんけど。

デザイナーが一方的に描く理想像をそのまま受け入れることも描いたように現場としては難しいことも多いですし、一方で現場が改善しようとしているものはデザインとは呼べないもので結果としてより酷いものになっていくことになります。

ですので、一度エンジニア側とデザイナー側とでそれぞれの理想像を語ることは必要だと思います。

そこから現実的な落しどころを探していけば言いだけですので、こういう意見の対立はあって叱るべきだとは思います。