社内サイトのアクセス数をKPIに設定するのは無理があるんじゃないか | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

自分は、社内ポータルの開発や運営をしているので、その中で色んな部門やプロジェクトの専用サイトを作りたいという要望を受ける事はよくあります。

で、サイトを公開したけど中には鳴かず飛ばずのものもあったりして、アクセス数を伸ばすためにはどうすればいいのかみたいな相談を受けたりもするのですが、そもそもイントラネットのサイトにおいては、アクセス数を伸ばすというのは結構無理があるものが多かったりしています。



インターネット上のサイト運営とイントラネット上のサイト運営の違い


そもそも、イントラネットは社内LANに限定されていたりしますので、アクセス数を伸ばそうにも母数が限られてきます。

インターネット上に公開したサイトのPV数を目標値に設定して、「月間100万PVを目指すぞ!」というのは興味を持ってくれるユーザーや客層というのはそれを大きく上回る数がいて、全然集客次第でどうにかなりそうな話ではあるのですが、イントラネット上では少なくともアクセスできる人のUU数で言えば社員の数を上回ることは無いわけです。

どんなにサイト運営者側が息巻いたところで限度があるわけで、それを無理に伸ばそうとすることに意味があるのかという風に思ったりもします。


もう1つは、アクセス数の多さがサイトの利用価値に直結するかというとそれも微妙で、要はサイトへアクセスするのは仕事上の時間になるわけなので、仕事しなくていいからこのサイトを見てねって事が公になっていればまだしも、そんな馬鹿げたお触れが出ることも無いので、興味があるものしか見ようとしません。

社内のサイトにおいては情報がダブるようなことはあまり無いので、そのサイト自体は絶対的優位な地位を築くことができるはずなのに、そんな状態であればよっぽどコンテンツに問題があるんじゃないかと思ったりもするのですが、何せさっきも書いたように興味を持ってくれないと見に来てくれないという状況の中で、その興味の対象は、イントラネット上に限らずインターネット上にもあるわけなので、なかなか素直に社員の人が社内のサイトへ興味を引く導線を作るのは難しいところでもあります。


ということで、そもそもPV数が劇的に伸びてものすごい数がアクセスされてきた状態で、「このサイトの認知度も上がりプロジェクトへの注目もあがってきている!」と素直に喜んでいいものなのか?という疑問も出てくるわけです。

そんなことよりも、社内サイトで伝えたい情報の核心というものが、社員に正しく伝わっていることの方が重要なんじゃなかろうかと思うのですが、それはなかなか目に見えにくいものなので、単純なPV数のような指標で短絡的な評価をしていても何にもならないのではないかと思います。


あとは、社内サイトの情報は読まなくても困ったときに聞ける人がすぐ近くにいたりしますし、必要なときに情報へのアクセスがしやすいことから、定期的にアクセスするリピーターというのが発生しにくい気がしています。

Googleの検索のように結果のサイトがころころ変わることは少ないですし、そもそも仕事の時間にアクセスすることから、結構シビアに必要なときに必要な情報としてしか見てくれないのではないかなと思います。



社内サイトのアクセス分析の難しさ


社内サイトのアクセス分析は、インターネット上にあるものと大して変わりはないものですが、サービスやツールが自前になることが多かったりして、なかなか見えづらくなる点があります。

外部のサービスが利用できなかったり、Webサーバーの生ログを解析するツールとかはあったりもしますが、あまりそこへの重要性というのは、サイト運営者以外では注目されなかったりもします。

ある情報を、決まった母数の人に対して均等に満遍なく浸透させるということが目的であったりしますから、その過程としては重宝されるでしょうけど、最終系のみんなが見ているという状態になればアクセス解析もそれほど必要性がなくなってきます。


そして、先に書いた例のように「必要な人に届いている情報」かどうかというのはアクセス分析の中ではなかなか見えづらいところでもあるので、単純なアクセス数というものでサイトの評価というのは計りきれません

そういったものを頼りにするよりは、アンケートでも取って生のユーザーの声を聞いたほうがよっぽど効果が見えてくるんじゃないのかって思ったりもします。

また、そのサイトを立ち上げた主目的であるプロジェクトや活動の内容を伝えることで、例えば事件や事故の件数が減ったのかとか、提案件数が上がったとか、お客さんからのクレームの数が減ったのかとか、多角的な分析の方が、最終的なゴールへの結びつきとしては重要になってくるでしょう。


こういったことを忘れて、単にアクセス数は多い方がいいというような感じで受け取られているのが疑問に感じるわけです。

個人のブログとかであれば、それがモチベーションにつながったり、サイトが広告媒体としての魅力を引き上げるというようなことはあるかもしれませんが、社内のサイトにおいては主目的や活動の内容を忘れがちになっているのではないかと感じることが多々あります。

まぁ、サイト運営にもコストがかかっているわけなので、そのサイトの制作費や運用費用というものが、割に合っているのかという評価としては必要になってくると思います。

それさえも忘れると、サイトの改善改善に工数を取られて、効果が出ているのかもわからないまま多くのコストと時間を浪費することにはなってしまいますので。


ただ、社内サイト(特に情報系のサイト)に関しては、売り上げに直結するようなものは難しかったりもしますので、単純な注目度としてのPV数はサイトの定量的な効果としては見えやすいものではあったりしますが、アクセス数の多さという定量的な指標がそのサイト運営にどういった効果をもたらしているのかというのはしっかり分析した方がよいのではないかと思うわけです。