ここまで、深くインターネットについて議論している本だとは思いませんでした。
素直に面白かった。
2ちゃんねるはなぜ潰れないのかという点を、人間の欲求とその需要と供給の問題、政治的な問題、法律の問題など色んな角度からひろゆき氏自らの意見を述べています。
ただ、この本の論点はその2ちゃんねるはなぜ潰れないのかという点だけではありません。
むしろこれはこの本を書くに当たっての背景にあるだけのものあって、内容としてはインターネット上の様々なサービスやコンピュータの世界についてひろゆき氏自身の考えをまとめた本であります。
それらについて極めて冷静に解説していると感じます。
私自身は、ひろゆき氏については2ちゃんねるの管理人という事と、それにプラスしてマスコミが書きたてたひろゆき像しか知りませんでした。
かなり偏った考えを持っている人ではないのかと思っていたのですがそうではないのが分かります。
冷静というよりは、「[4.0] 対談 佐々木俊尚×ひろゆき」の中で「西村博之は悲観的である」とあるように、全てにおいてマイナス面を深く考えてみた結果なのかもしれません。
この本で取り上げられている、今をときめくIT企業、Webサービスは、Google、Yahoo、ライブドア、mixi、ソフトバンク、Microsoft、YouTube、ニコニコ動画、Gyo、セカンドライフなど数知れず。
「ウェブ進化論 」がインターネットの陽を書いたものであれば、本書はその陰の部分を書いた本であるかと。
まぁ、陰と言えばネガティブな感じですので現実的といったほうがいいかも知れません。
技術者(ひろゆき氏自身は、企画者と名乗っていますが)とノン技術者の考えの違いからくるものとも思いますが、巷にあふれるWeb2.0の本を読むよりは、本書の方が全体感を捉えるのに適していると思います。
GoogleやYouTubeは凄くないと一刀両断にしている辺りなど、確かに読めば(技術者よりの見解ではありますが)その理由についてわからなくは無いのですが、人とずらした価値観を読み解くセンスには脱帽します。
ニコニコ動画がここまで流行った理由についても触れられており、技術的な要素云々ではなく人がインターネットに抱く欲求をうまく満たしていると言う事が分かるだけでも、本書を読む価値が十二分にあると感じます。
しかし、最後の「[7.0] 対談 小飼弾×ひろゆき」は濃い(笑