「約束の時間に間に合わなくなる」と、イライラしながらバスを待っていたら、見ず知らずの老人が話しかけてきた。風が冷たい話、バスは遅れることが多く15分も待たされたことがある話、今夜は雨か雪が降る話。聞いてばかりにならないよう、適度に相づちを入れていたら気持ちが和んできた。
バスが来て、老人の顔を見たら先に乗れというサイン。バスのタラップを駆け上ったら、元のイライラモードに逆戻りした。
もっと話を続けていれば良かったかもしれないと思ったが、気づいたときには老人は遠くに離れていた。近づいていく気力はそのときの僕にはなかった。