明治天皇穏田行幸 | 大山格のブログ

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おもに歴史について綴っていきます。
実証を重んじます。妄想で歴史を論じようとする人はサヨウナラ。

 明治二十三年、当時の陸軍大臣であった大山巌中将の私邸に明治天皇が行幸遊ばされた。その大山邸は南豊島郡千駄ヶ谷村穏田(現在の渋谷区神宮前五丁目)にあった。
 陛下はこの時期、何人もの重臣の家を訪れている。いわゆる鹿鳴館時代がおわり、外国からの賓客を政府高官の私邸で接待することが増えており、その接遇ぶりを視察する意味もあって重臣の私邸への行幸が多かったといわれる。
 陛下をお迎えする大山は、永田町の陸軍大臣官邸におでましいただくつもりでいた。長く陸軍大臣をつとめていた大山からすれば官邸こそが自宅であったが、陛下の思し召しは私邸への行幸ということであった。そこで大山はドイツの古城を模した煉瓦造の洋館を穏田に新築した。
 明治の洋館はゲストハウスとして建てられたものが大半で、生活の場として日本建築が併設されることが多かったが、この大山邸は住居としても使用された珍しい洋館であり、その後、大正十二年の関東大震災で倒壊するまで、大山家の生活の場に用いられていた。

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