
日本を揺るがしたペリー来航は嘉永六年、明治天皇が零歳児のときのことであった。そして、まだ幼少の頃に締結された不平等条約が解消されたのは崩御の前年にあたる明治四十四年であった。つまり、明治天皇の生涯は幕末からはじまり、欧米列強に日本を文明国として認めさせるまで、維新史そのものに重なっているのである。
明治維新は中央集権から始まり、関税自主権の獲得をもって一応の完成を見た。いま現在、平成二十三年には地方分権と関税撤廃が提唱されているのだが、これは明治維新の逆を行く考え方といえよう。
もとより未来を如何にすべきかは歴史家の論ずべきことではない。しかし、過去に如何なることがあったかを論ずることは出来る。なぜ日本は中央集権を目指し、関税自主権を獲得するために半世紀もの苦闘を重ねてきたのか?
その論ずべき時代は、明治天皇の生涯に重なっている。ゆえに、その生涯の時代背景を追うことは、日本近代史のあらましを知ることにもなろう。
以上のとおり、おおまかな方向性は定めたが、ブログという即時に双方向の反応が可能な媒体での発表であるからには読者諸賢の御叱正を受けることもあろうし、また、大きく話題が脱線することも予想される。いつ、どれほどの文量で完結するかは、当の本人たる私にもわからない。
よくよく練った企画ではないのに見切り発車するのは心苦しくもあるが、事実誤認などがあれば随時改訂していくので、長い目で見ていただければ幸いである。
平成23年8月4日(木) 歴史家 日本史探偵団主宰 大山 格
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本記事群は、明治天皇をはじめ歴史上の人物を顕彰する目的を持たない。
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