政府が支出拡大で全てが流れる | ある女子大講師

政府が支出拡大で全てが流れる

政府が支出拡大で全てが流れる

1.総理は「支援金制度」の導入について「社会保障負担率が上がることはなく、国民に新たな負担を求めないことを約束する。仕組みを国民に理解してもらえるよう、引き続き説明を尽くしていきたい」と述べた。その上で、事業主からも集める支援金が企業側の賃上げに与える影響を問われ「実質的な負担を生じさせないのは事業主の拠出分も同様だ。あらゆる政策を動員して賃上げの促進を進めており、結果として支援金制度が賃上げを阻害することにはならない」と述べた。

 

2.本気で「国民(企業含む)に実質的な負担を生じさせない」と主張し、「あらゆる政策を動員し」というならば、とりあえず消費税を廃止すればいい。消費税は事業者に「従業員(固定費用)の個人事業主化(変動費用化)」を促す最悪の税金だ。というか、企業に賃上げを求める時点で、社会保険料と消費税が上がるため、賃上げ分以上の負担を求めている。

 

3.総理は「(ETF分配金輸入を)仮に子ども・子育て財源に充てると、その分、一般財源が不足し、国債を発行する必要が生じる。これを財源と考える余地はない」と答弁。要は、そういうことで、国債発行で話が済むにも関わらず、「唯一、正しい解決策」だけは「財源と考える余地はない」と、現実を無視した思い込みで考えている。そんなこと言うならば、国債発行なしで予算執行してみる。とりあえず、2024年度予算の執行は瞬間、不可能になるから。今月から始まった24年度予算も、新たな国債を発行して執行されている。国債発行について「財源ではない」と嘘をつき続ける政府では、我が国の衰退は止まらない。そもそも財源は国債なのだ。

 

4.日本政府がやっていることは「企業に賃上げをお願いし、それをいいことに増税(支援金と銘打っていますが、増税)し、相対的に余裕がある子育て世帯に支給し、少子化対策と主張する」という斜め上の政策だ。物価がどうあれ、デフレは需要の縮小。そして、GDP三面等価の原則により、生産=需要=所得。需要の縮小は所得の下落であり、当然ながら次の支出(需要)を減らす。需要減が需要減をもたらす悪循環が、延々と続くのがデフレーションなのだ。民間企業にとって、需要不足期に支出を増やすのは不可能。理由は、民間企業は純負債(債務超過)状態になってしまうと存続できないためだ。だからこそ、デフレ期には純負債を増やすことで国民(民間)に純資産(黒字)をもたらすことができる政府が支出(※所得移転含む)を拡大しなければならない。誰もが純負債を拡大することに躊躇するからこそ、政府が拡大しなければならない。何しろ、政府は予算を通し、国債を発行する「だけ」で自らの純負債、国民の純資産を拡大することができるのだ。