将来の悲惨や巨額支出を回避のために支出を増やそう | ある女子大講師

将来の悲惨や巨額支出を回避のために支出を増やそう

将来の悲惨や巨額支出を回避のために支出を増やそう

1.4月1日のシリアのイラン大使館攻撃への報復として、イランが多数の無人機やミサイルによるイスラエル攻撃に踏み切った。殆どはイスラエル軍、米英軍に撃墜されたが、戦争は新たなステージになった。外務省は、イランへの渡航を中止するように求める注意喚起を出した。イランは100発以上の中距離弾道ミサイル、30発以上の巡航ミサイル、150機以上の攻撃型ドローンなどを発射。もしイスラエルに大きな被害が出ていたら、戦争は一気にエスカレートすることになっただろう。「イラン国内から攻撃を受けた」時点で、イスラエル側が事態をエスカレートする可能性は残っている。イラン側には、イスラエルへの再度の直接攻撃に踏み切らなかったとしても、「ホルムズ海峡の封鎖」という強力な手段が残っている。実際、4月13日に、イラン革命防衛隊がイスラエルに関連する貨物船を拿捕した。

 

2.ホルムズ海峡が封鎖された時点で、原油輸入の中東依存度90%の日本にとって「国家存亡の危機」が訪れることになる。日本での原油備蓄は、240日分に過ぎない。この状況で、日本政府はエネルギー・コストにおける国民への支援を「削減」しようとしている。政府の電気代、ガス代への補助金は、来月使用分を最後に終了となる。加えて、最エネ賦課金も増加。今年の電気・ガス代は、標準世帯で年間約3万円の負担増になる。実質賃金が23カ月連続で減少し、エネルギー輸入に対するリスクが高まっている最中に、国民の負担を軽減する措置を「終了」しようとしている。今の日本政府って、本当に「日本」政府なのか疑う。

 

3.考えてみると、例えば、家計の自宅の耐震化は、「今、おカネを使うことで、将来の震災リスクを減らす」ことが目的。耐震化工事をすることで、確かに「今」の支出は増えるが、それにより将来の「悲惨」や巨額支出を回避することができる。家計に限らず、国家の自然災害対策も同じだ。今、おカネを使えば、将来の「悲惨」を回避できる。国土強靭化とは、そもそもそういう発想なのだ。エネルギーも同じで、エネルギー自給率がOECD諸国でワースト二位の日本であるにも関わらず、過去数十年、エネルギー自給率引き上げの投資をサボってきた。最も悔やまれるのは、水力発電と蓄電技術だ。

 

4.水力は我が国の国土上、多段階ダムの建設が可能なわけで、日本のエネルギー自給率を一気に上昇させる可能性があった。あるいは、既存のダムのかさ上げ、さらには国土交通省が所管するダムの発電所化。ようやく令和四年に「ハイブリッドダム」に事業が始まった。当たり前だが、原発再稼働を政治主導で進めなければならなかったはずだ。やるべき政治判断(原発再稼働)をせず、やるべき投資も怠った。将来のリスクを考えず、今、カネを使わなかった。結果、将来の「悲惨」を回避することができない。まさに、愚者の典型、と言っても過言ではない。今からでも間に合う。将来の巨額支出のリスクを回避するために、今、支出を増やそう。将来の悲惨や巨額支出を回避するために支出を増やそう。